ハンガリーの医学部には、毎年40名程度の外国人が入学してきた。ただし、石川君によれば、「ストレートで進学できるのは4割程度。3割は留年、残りの3割は退学する」という。

 チェコも状況は同じだ。毎年75~90人の外国人が入学するが、無事に卒業できるのは40~50人だ。これまでに20人の日本人が入学したが、すでに6人が退学している。

 チェコで2番目に古い歴史をもつパラツキー大学で学ぶ坂本遙さんは、同大学の特徴を「入学後の1年間で3割から5割が退学すること」と言う。1年生のときに単位を落とすことが認められていないため、2回まで受けることが出来る追試で合格しなければ、自動的に退学となる。退学となった学生の多くは、授業を受け続けながら、翌年に再受験する。ポーランドなどEU内で難易度の低い大学を受け直す学生もいる。このようなやりかたは、1年間をかけて入学者を選抜していることに他ならない。日本とは異なるシステムを採用しており、日本の医学部とは異なる特性をもつ学生が選抜される。

日本の大学より魅力的

 では、日本から東欧の医学部に進学する学生の背景はどうなっているのだろう。

 石川君が、彼がアプローチ可能であったハンガリーの医学部で学ぶ日本人留学生61名の背景を調査した。興味深い結果だった。

 親の職業が判明した45人のうち、親が医者だったのは23人、それ以外が22人だった。

 入学者の出身地で多いのは、関東地方29人、九州11人、近畿8人、中国地方5人という順だった。出身地と親の職業の間には、明らかな関連はない。

 冒頭で、首都圏の高校生は、国公立の医学部に進学するのが難しいことを紹介した。私は、石川君に依頼して、各地方の国公立大学の医学部の定員枠と、ハンガリーの医学部に進学している学生の割合を比較してもらった。勿論、少数例の検討で、確定的なことは言えない。

図7:ハンガリーの医学部入学者の人数と、その出身地の国公立大学医学部定員の関係

◎新潮社フォーサイトの関連記事
「ガバナンス」崩壊の「国立大学」に必要な「公正」と「自立」
「厚労省vs.文科省」利権争いで停滞する「がん治療」最前線
「若き勤務医」が取り組む日中「貧血対策」の民間研究