OPECが減産を延長しなければ原油価格は急落か

心中穏やかではない訪日するサウジアラビア国王

2017.03.02(木) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49305
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 サウジアラムコの評価額を高めるには原油価格を上昇させるしか方法がない。そのためには夏季以降も減産を実施することを容認するしかない。だが、そうなれば原油売却収入が減少する可能性があり、サウジアラビア国民はさらなる痛みを余儀なくされるかもしれない(サウジアラビア政府は7月からガソリン価格を30%引き上げるとの情報がある)。

サルマン国王が来日、日本への要望は?

 このような状況下で、サウジアラビアのサルマン国王は、マレーシア・インドネシア訪問の後に3月12日から15日まで4日間の日程で来日する(その後は中国を訪問)。安倍首相や麻生財務相らと会談し、脱石油依存(ビジョン2030)を掲げるサウジアラビアへの経済協力プランなどについて議論する見通しである。

 昨年10月、日本とサウジアラビアは経済協力などを話し合う「日・サウジ・ビジョン2030共同グループ」の初会合をサウジアラビアで開催し、貿易・投資・文化など幅広い分野での協力について協議してきた。両国間の協力のあり方は今のところ民間ベースの協力が主体となるとの見方が有力であり、日本側ではサウジアラムコの東京証券取引所への上場に対する期待も高まっている。

 サルマン国王のアジア歴訪を前に、米国が気になる動きに出ている。

 トランプ政権の下で新たに任命されたポンペオCIA長官が2月13日、サウジアラビアを訪問し、ナイフ皇太子に対し「テロ対策において優れた諜報活動と安全と平和に貢献した」としてジョージ・テネット勲章)を授与したことだ。「米国政府はナイフ皇太子の『次期国王』へのお墨付きを与えるのではないか」との憶測が高まっている。

「ムハンマド副皇太子(王位継承順位2位)を次期国王にしたい」との意向が強いとされるサルマン国王にとって、国王の甥であるナイフ皇太子(王位継承順位1位)は悩ましい存在である。

 心中穏やかでないサルマン国王は「歴史的な訪日を成功させ、ムハンマド副皇太子の地位をなんとしてでも盤石しなければならない」との思いを強めたとしても不思議ではない。サウジアラビア側から「藁をもすがる」気持ちで想定外の要望が飛び出す可能性があるのではないだろうか。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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