OPECが減産を延長しなければ原油価格は急落か

心中穏やかではない訪日するサウジアラビア国王

2017.03.02(木) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49305
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 米国でガソリン消費が減少するのは、自動車販売が低調なことに加えて構造的な要因がある。米国の自動車1台当たりの年間移動距離が趨勢的に縮小傾向にあるのだ。自動車1台当たりの年間移動距離は2004年の1万3300マイルをピークに減少し始め、2013年には1万2000マイルとなった。その後、原油価格下落に伴うガソリン安で移動距離は拡大したものの、昨年はガソリン価格の上昇で伸びは鈍化し1万2500マイルにとどまっている。原油高が続けば、今年の移動距離は再び縮小する可能性がある。

 米国の製油所はガソリンの生産を減少し始めているが、世界的に見てガソリン市場は供給過剰である。歴史的に見て高水準にあるガソリン在庫が今後原油価格の下押し圧力になるとの見方が強まっている。

中国への原油輸出を増加させていたOPEC

「第2の中国」と期待されているインドも、1月の原油需要は日量499万バレルと16カ月ぶりの前年比マイナスとなった。昨年11月の高額紙幣廃止による悪影響に加え、「インドの原油処理能力が頭打ちとなっている」との指摘もあり、今年のインドの原油需要の伸びに黄信号が灯りつつある。

 原油需要の伸びが最も期待されるのは中国だが、中国政府が2月24日に発表した「1月の各国別の原油輸入量」は、OPECにとってはまさに「不都合な真実」だった。1月からの減産合意(日量120万バレル)を90%遵守していると主張するOPEC11カ国の中国への原油輸出量が前年に比べて28%も増加していたことが判明したからである(前月比は4%増である)。

 国別に見てみると、サウジアラビアからの輸出量は日量119万バレル(前年比19%増、前月比41%増)となり、輸入国別のシェアで首位に返り咲いた。第2位はアンゴラの同117万バレル(前年比63%増、前月比46%)だった。イラクからの輸出量も同83万バレルと増加した(前年比43%増、前月比12%増)。

 この結果をみた市場関係者が「OPECの主要国は減産を着実に実施していると言いながら、我々を騙して世界の原油市場のシェア向上に躍起になっているのではないか」との疑念を抱くのは当然であろう

OPECは減産を延長できるか?

 市場では、世界の原油市場が供給過剰のままであるとの認識が再び高まりつつあり、OPECが減産を延長できるかどうかに関心が移ってきている(2月23日付ブルームバーグ)。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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