原油相場が「強気」と「弱気」で揺れ動いている理由

当面は堅調に推移、だが需給面は悪くなっている可能性が大

2016.08.26(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47712
  • 著者プロフィール&コラム概要

 石油の需要は先進国で既に細りつつある。例えば日本の石油消費は2005年の日量535万バレルから昨年の同415万バレルと、10年間で2割以上減少している。フィナンシャル・タイムズは「日本にとどまらず世界全体でも10~20年以内に起こる」としているが、筆者はこの予言はもっと早まるのではないかと心配している。

バブル状態の米国経済

 世界経済の変調を示す数字として、中でも注目されているのが米国の生産性の伸びである。

 米国の生産性の上昇率の過去50年間の平均は約2%である。直近では1999年から2006年までは年率2.4%だったが、2007年から2013年にかけて1.1%に落ちている。今年に入ると第1四半期の生産性上昇率はついに0.6%に低下し、全米産業審議会は5月「今年の生産性上昇率は過去30年余で初めてマイナスとなる可能性が高い」と予測した。

 その主な原因はリーマン・ショック後の超金融緩和にあると言われている。金融緩和のせいで、企業は人手不足を合理化ではなく低賃金労働を増やすことでしのいできた。そのため、生産性の上昇が抑え込まれている。

 リーマン・ショック以降、米国では廃業率が開業率を上回るなど企業の新陳代謝も振るわない。世界経済を牽引するIT業界では従来型産業と異なり事業拡大が容易であるため、極端な独占企業が出現している。これらの巨大企業がベンチャー企業を次々と買収することで「成長の芽」を奪ってしまっているとの指摘も出ている。

 生産性とは生産活動に対する生産要素(労働・資本など)の寄与度を指すが、生産性と経済成長の間には強い相関があると言われている。生産性が上昇しなければ経済は成長しないし、原油需要も増加しない。

4
スマートエネルギー情報局TOPに戻る
PR
PR
PR
バックナンバー一覧 »

POWERED BY

  • ソーシャルメディアの公式アカウントOPEN!
    TwitterFacebookページでも最新記事の情報などを配信していきます。「フォロー」・「いいね」をよろしくお願いします!
Twitter
RSS

 

経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

オリジナル海外コラム

米国、欧州、中国、ロシア、中東など世界の政治経済情勢をリアルに、そして深く伝えるJBpressでしか読めないオリジナルコラム。

>>最新記事一覧へ