中国人民元が国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)構成通貨に加わる時期が迫っている。2016年10月以降、SDRの通貨バスケットにおける人民元の構成比は10.92%となって円の8.33%を上回り、米ドルやユーロに次ぐ重要通貨になる。
ところが人民元のSDR入りを控えた7月21日、米ダラス連邦準備銀行(FRBのメンバー行)は「人民元は投資家にとって安全資産にはなりえない」とする報告書を発表した。
ダラス連銀のスタッフは、株価変動の指数と、安全通貨とされる米ドルや円、ユーロ、ポンド、スイスフランに対する人民元の相対価値を分析した。その結果、「人民元のパフォーマンスは2011年から2015年後半までは主要通貨よりも良好だったが、その後、市場のボラティリティーが高まる中で主要通貨に対する相対価値が低下した」ことが判明したという(人民元は今年に入って主要通貨に対して約3%下落)。
経済成長の勢いに陰りが見られるとともに、人民元取引の自由化に逆行する動きが目立つ中国政府の姿勢から、「現時点で人民元が安全通貨だとの指摘は裏付けられず、人民元が安全通貨の地位に向けて前進しつつあるとの見方も疑問視される」と結論づけた。
国際銀行間通信協会(SWIFT)の今年6月時点の発表によると、人民元の決済シェアは昨年8月にピークに達して以降、縮小傾向にあり、2014年10月以来の低水準(1.72%)となった。シェアの順位は5月と同じくカナダドルに次いで第6位である。