蒸し料理ブームの裏で、蒸し器は“台所の肥やし”に?

変わるキッチン(第17回)~蒸す

2015.10.30(Fri) 澁川 祐子
筆者プロフィール&コラム概要
蒸気で食材を熱する、すなわち蒸す。ご飯を蒸しているところ

 このところずっと蒸し料理が話題になっている気がする。最初にブームを意識したのは、2003年に『スチームフード』(長尾智子・福田里香著、柴田書店)が出た頃だったか。以来、蒸籠(せいろ)を使ったレシピ集が目につくようになった。

 2009年頃には「タジン鍋」が流行った。タジン鍋とはモロッコの伝統的な鍋で、水の貴重な砂漠地帯で食材の水分だけで調理できるものだ。同じ頃、電子レンジで手軽に蒸し料理ができるシリコンスチーマーや、蒸し料理専用のスチームクッカーももてはやされた。

 新しい調理器具が登場しては、ちょっとしたブームが起きる。それほど、蒸し料理を手軽においしく作りたいというニーズがあるということだろう。健康志向が叫ばれるようになってから、ヘルシーでおいしいとされている蒸し料理は、常に人々から高い関心を集めている。

 しかも秋から冬にかけて、蒸し料理のほかほかとした湯気はなんとも魅力的に映る。そこで今回は「蒸す」をテーマにしようと決めた。なぜここまで、蒸し料理は人々の興味を引くのかという謎を解くために。

「蒸す」と「ふかす」の違いは?

 記事を書くにあたり、少し気になったことがあった。「蒸す」と似た言葉に「ふかす」がある。たとえば、さつまいもは「蒸す」というより「ふかす」がぴったりくる。でも実際にやっていることは「蒸す」ではないだろうか。

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1974年、神奈川県生まれ。東京都立大学人文学部を卒業後、フリーのライターとして食や工芸・デザインを中心に、読むこと、食べること、暮らすことをテーマとしたインタビューやルポ、書評を執筆。『森正洋の言葉。デザインの言葉。』(ナガオカケンメイ監修、美術出版社)、『最高に美しいうつわ』(SML監修、エクスナレッジ)の取材構成ほか、近著に当連載をまとめた『ニッポン定番メニュー事始め』(彩流社)がある。


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