・中国が「九段線」(筆者注:かつて中国の支配が及んでいたとする領域)と呼んでいる歴史的な主張には何ら根拠がなく、南シナ海に対する歴史的な権利を有しない。もし、南シナ海における「歴史的な権利」を主張するのであれば、フィリピンを含めて東南アジアの諸民族こそが、その唯一の権利を有する。

・なぜなら、中国はそもそも有史以来、歴史上、南シナ海を活用したことも、また、実効支配したこともないからである。

・中国人が、南シナ海に出てくるのは、せいぜい13世紀頃であって、中国は遅れてやって来た人々なのだ。反対に、フィリピン諸島の人々を含めて東南アジアの人々は中国人が来るよりも、1000年も前に海洋交通路として南シナ海を活用していた。

・そして、海洋貿易ルートとして中国人が南シナ海を活用したのは短期間にすぎない。決して継続的なものではない。一方で、東南アジアの人々は、古代から現在に至るまで継続的に南シナ海を活用してきている。

・南シナ海に対する実効支配の根拠として、中国による「朝貢体制」に依拠することは、誤解である。

・「朝貢体制」は、基本的に中国と東南アジアの統治者間の経済的なアレンジメントにすぎない。それは、現代における自由貿易や、市場アクセス合意のようなものである。

・それは、中国が、中国の貿易上の利益を促進するために、その使者を派遣する中国のイニシアティブである。東南アジアの統治者たちは、それに応えるか、時折、競合もした。なぜなら、彼らは、中国市場へのアクセスを求めたからである。

 これが、フィリピンの歴史に関する主張のごく簡単な要点である。もちろん、各論については、膨大な歴史資料と欧米の歴史家の評価が添付されている。