同日の記者会見において、中国外交部の洪磊(ホン・レイ)副報道局長は、「仁愛礁(アユンギン礁の中国名)の不法占拠を企むフィリピン側のいかなる行為も容認しない」と強く非難した。しかしながら、中国の言う「不法」とは一体どのような法律に基づく不法行為なのであろうか。

 4月1日付の「人民日報」でも、「フィリピンが国際法を乱用し、中国に圧力を加えるという悪巧みは実現できない」との記事が掲載されている。そこでは、 「フィリピンが一方的に南海争議を国際仲裁に提出したことは『国連海洋法公約』を含む国際法に背くだけでなく、基本的な歴史事実に背くものだ。国際道義に背くほか、国際関係の基本準則に背くものだ。中国政府がこれを受け入れず、仲裁に参加しない行為は道理にかなうものであり、法律的な根拠がある」と主張されている。

 もっとも、人民日報でも、それがどのような歴史事実なのか、あるいは、どのような法律的根拠なのかは、残念ながら明らかにされていない。

 4月3日の米国上院の公聴会でも、ラッセル米国務次官補が、「中国が今、当局の船を数多く派遣して焦点を当てているのは、セカンド・トーマス礁だ」と述べ、米国としても強い警戒感を示している。

 フィリピンという、東南アジア諸国のか弱き同朋たちが、健気にも法律を通じた戦いに挑もうとしている。これを、我々は暖かく見守る必要があろう。南シナ海が戦略的に重要な国際交通路として守るべき公共財であることを改めて想起しようではないか。

 さて、間もなくゾイロ君は、オランダにあるフィリピン大使館に人事異動になるという。国際仲裁裁判所の動きを睨んだ人事である。

 オランダのハーグの法廷で、これから展開されるだろう「弱者の戦い」に大いに注目しよう。

(本稿は筆者個人の見解である)