フィリピン政府は、国際仲裁裁判所に、フィリピン政府が組織した国際弁護士チームによる申述書を提出した。これが始めの一歩である。

 こうして、フィリピン政府は、いわゆる中国が得意とする三戦の1つである「法律戦」に正式に挑んだことになる。まだ、国際仲裁裁判所がフィリピン政府の提訴を受けて、実際に本件を審議することになるか否かは分からない。それは国際仲裁裁判所の判事の判断にかかっている。

国家総出の「法律戦」

 この3月6日にフィリピン女性判事協会で開催された、「中国との裁判において、かけられているもの」と題された講演会において、フィリピン最高裁のアントニオ・カルピオ判事が次のように述べている。

 「フィリピンの1987年憲法は次のように宣言している。「フィリピン国家はその排他的経済水域にある国家の海洋資源を保護し、フィリピン市民がそれを使用することを確保する義務がある。これこそが、私たち全てが守るべく宣誓した憲法が求めるものなのだ」

 フィリピンの最高裁の判事までが、このような意気込みを示していることは実に興味深い。行政も司法も総出なのだ。今回のフィリピンの国際仲裁裁判所への提訴は、フィリピンという国家総出の総力戦ということなのだろう。デル・ロサリオ・フィリピン外相は、3月30日、仲裁請求は、「フィリピンの正当な領有権を守り、国際法に基づく公正かつ永続的な解決策を確保するためのものだ」と述べている。

 奇しくも、フィリピンが申述書を国際仲裁裁判所に提出する1日前の3月29日には、中国の艦艇が、フィリピン海兵隊が駐在する、アユンギン礁(別名セコンド・トーマス礁)のシエラ・マドレ号に、物資を運ぼうとする民間の補給船の行く手を妨害しようとしている。中国は、露骨な形でフィリピンを力で脅そうとしているのだ。