牛丼屋から牛丼が消えていく?

「脱・牛丼」でデフレ脱却か

2014.02.13(Thu) 小谷 隆
筆者プロフィール&コラム概要

 片や新王者のすき家は牛丼並盛を280円に値下げした直後の勢いもどこへやら、2011年9月から2014年1月まで29カ月連続で既存店売り上げが前年を割り込むという前例のない苦戦を強いられた。その間、牛丼並盛を250円に値下げするキャンペーンを8回も展開し、独創的な牛丼トッピングや「たまごかけごはん朝食」などを投入してきたものの客足は思うように伸びず、売り上げは水面下にとどまっていた。

すき家の牛すき鍋定食。価格は580円

 だが新王者としていつまでも低迷に甘んじているわけにはいかない。すき家は2月6日、「牛すき鍋定食」(580円)ほか2種類の鍋定食を発売すると発表した。コンロに固形燃料の火をつけて提供するのは吉野家と同じスタイルだ。

 ここへきて今度は吉野家に追随、とメディアはこぞって報じた。しかし実はすき家は過去にこの手のメニューを提供していたことがある。すき家によれば、今を遡ること30年以上前の1983年に「すき焼ディナーセット」を、2004年にも「すき焼き定食」を期間限定で発売していたという。「鍋ではうちが元祖」と一歩も引けを取らない構えだ。

 業界3番手の松屋には今のところ大きな動きはないものの、もともと機動的に様々なメニューを投入できる力もあるし、一部の店舗ではちゃっかりと実験導入もしている。すき家の動向を見て急遽「鍋」戦線に参入してくる可能性もある。

 ほんの数年前まで、牛丼戦争といえばあくなき値引き競争だった。それが今やなか卯の「牛すき丼」といい、吉野家やすき家の鍋・膳といい、商品の満足度を競う戦いに変容している。

 もちろん、この争いは客単価の大幅アップをもたらすことになる。「デフレの象徴」とまで蔑まれた牛丼業界だったのに、皮肉にもこの業界が最も早くデフレを脱出するかもしれない。

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企業コミュニケーションのプロとして働く傍ら、音楽制作と文筆活動。24時間イン ターネット音楽ラジオ「これい~なNon Stop Music Station」を主宰。87年コバルト 短編小説新人賞、93年新美南吉童話賞を受賞。90年代に草創期のマイクロソフトネッ トワークでコラムを執筆。愛知県生まれ。


食の万華鏡

食の安全に対して国民の関心が高まっている。今後、安全で美味しい食の供給国としての日本を考えた時にもこの問題は重要になる。食の安全の話題を中心に、食トレンド、食品マーケットなど、食にまつわる様々なテーマを取り上げる。