牛丼屋から牛丼が消えていく?

「脱・牛丼」でデフレ脱却か

2014.02.13(Thu) 小谷 隆
筆者プロフィール&コラム概要

 外食チェーン大手の「なか卯」である異変が起こっている。

 ところで、そもそもなか卯は何屋と呼べばいいのだろう? 看板には「うどん どんぶり」と書いてあったり、あるいは「牛丼」と書いてあることも。

 ただ、やはりなか卯といえば親子丼。他にもカツ丼や季節ものの丼と、バリエーション豊富なうどんを組み合わせたセットで「炭水化物+炭水化物」をがっつり楽しめるのがなか卯の醍醐味だ。

 実際、券売機のメニューを眺める限り、「丼とうどん」の店という色彩が強い。しかし関係者にそっと訊ねてみたら、店によっては売り上げの半分近くを「和風牛丼」が占めるのだという。実は押しも押されもせぬ「牛丼店」なのだ。

 牛丼チェーンでは1976店舗のすき家と、1190店舗の吉野家、981店舗の松屋に次いで第4位に位置する479店舗を擁している。親会社であるゼンショーホールディングスの決算でも、なか卯の売り上げはすき家とともに「牛丼」カテゴリーに含まれている。

 そのなか卯が「牛丼をやめる」とほのめかしたのだ。これは一体どういうことだろうと、品川の本社で行われたメディア向けの試食会に足を運んでみた。稼ぎ頭であるはずの「和風牛丼」に代わる商品を食べさせてくれるというのである。

「脱・牛丼」に挑むなか卯

 出てきた丼にはまず明らかに牛肉と分かる肉が乗っている。見るからに牛丼だ。ただ、大きな豆腐が一切れ、それに長ネギ、三つ葉、しらたきがあしらってある。

 「これ、牛丼でしょ?」と僕は担当者に訊ねた。正直、がっかりした。「牛丼やめるって話じゃなかったんですか?」

 「いえ、牛丼ではありません」と担当者はクールに答えた。「牛すき丼です。牛丼の元祖のような存在ですが、いわゆる牛丼とは一線を画したものです」

 食べてみれば分かるというのでさっそく一口いただく。

 ふむ。すぐに納得した。そういうことか。

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企業コミュニケーションのプロとして働く傍ら、音楽制作と文筆活動。24時間イン ターネット音楽ラジオ「これい~なNon Stop Music Station」を主宰。87年コバルト 短編小説新人賞、93年新美南吉童話賞を受賞。90年代に草創期のマイクロソフトネッ トワークでコラムを執筆。愛知県生まれ。


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