ここまで来た、日本のスマートコミュニティ実証事業

スマートハウス、EVインフラなどでシステム輸出も視野に~NEDOの取り組み

2013.12.02(月) 吉川 翔茉
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 そこでこれらステークホルダーに対して、ユーザからはEVの走行情報、スタンド事業者からは充電(量・満空)情報、電力会社からは需給状況等の提供を受けながら、各者を調整しそれぞれに必要なサービスを提供する仲介事業者が必要となる。この事業の技術的課題を解決し事業成立性を実証するのが、本プロジェクトの大きなねらいである(図9参照)。

 具体的には、マラガ市近郊に9カ所・23口のCHAdeMO方式の急速充電器を設置し、様々な走行パターンを有するマラガ市から募集した実証参加者約200人のEV走行データを分析・解析する。

 実証参加者にはリアルタイムの走行情報に基づき、全地球測位システム(GPS)やスマートフォンのナビゲーションシステムを活用して、EVに最適な充電スポットまでの誘導を行うほか、混雑状況を配信することを通じて、市内の渋滞緩和や電量会社のピークシフト、再生可能エネルギーの有効活用をねらう。

 また、今回整備したEVインフラを活用してカーシェアリングや、広告配信などの様々な情報サービスの構築を行う予定である。将来的にはこれらのサービスを現地企業とのネットワークを通じて欧州や中南米に対して展開することを目標としており、日本発の技術・サービスのシステム輸出を実現することを目指している。


図9:EV普及時の課題と解決方法 拡大画像表示

今後の展望

 本稿では、スマートコミュニティの必要性や定義、NEDOの最新の取り組みについて述べてきた。これまでの取り組みを総括すると、我が国が蓄積してきた再生可能エネルギーや燃料電池・蓄電池及びその周辺技術については、一定の成果を蓄積しながら現実社会に適用されつつあるものと考えられる。

 一方で、世界のグローバル市場での動きは急であり、スマートグリッドを推進する米国、再生可能エネルギーの割合を2020年に20%とする目標を持つ欧州、エネルギー消費の伸びが著しい新興国等、世界的なエネルギー源の多様化、温室効果ガス削減等の要請はとどまることはなく、再生可能エネルギーの導入促進とスマートコミュニティの形成は一層加速的に取り組む必要がある。

 しかしながら、こうしたスマートコミュニティが拡がるには、単なる公的支援によってのみなされるのではなく、やはりビジネスとして付加価値を生むモデルをつくり、民主導で展開される形が望まれる。そのためには、様々な構成要素を持つスマートコミュニティの特性を踏まえ、産業界においては、従来からの業種や国境の壁を越えた連携関係の構築が極めて重要な意味を持つ。

 既に民間のみで動き始めている様々なプロジェクトはあるが、産業界自身が自らこうした活動をさらに活発化させるためのプラットフォームとして組成された日本スマートコミュニティアライアンス(Japan Smart Community Alliance: JSCA)も立ち上げから約3年経過しており、ノウハウや経験も蓄積されつつあるところ、同アライアンスを核とした様々な成功事例の積み上げにより自律的なスマートコミュニティの形成が進むことを期待したい。

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吉川 翔茉 Shoma Yoshikawa

 

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) スマートコミュニティ部

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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