ここまで来た、日本のスマートコミュニティ実証事業

スマートハウス、EVインフラなどでシステム輸出も視野に~NEDOの取り組み

2013.12.02(月) 吉川 翔茉
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NEDOが進めるスマートコミュニティの海外実証事業

 NEDOでは以前から、エネルギー・環境関連の各種要素技術の研究開発のほか、分散型電源を使用した新しい電力系統であるマイクログリッド分野を始めとした系統関連の実証事業に積極的に取り組んできた(図2参照)。

図2:青森県八戸市でのNEDOのマイクログリッドへの取り組み(新エネルギー等地域集中実証研究、FY15~FY19)

 それらは全てスマートグリッド/スマートコミュニティを実現するうえで必要不可欠な技術であり、そこで得られた様々な知見を活かして、現在NEDOは最先端のスマートコミュニティ海外実証事業を実施している。

 経済産業省や個々の民間企業が国内でのスマートコミュニティ実証を数多く推進している中、何故にNEDOは海外に目を向けるのかという質問を受けるが、海外実証事業を行う理由は大きく3つある。

 第1に、日本においては物理的・制度的制約によって実証不可能な技術の有効性を検証することができる。

 例えば、日本の国土では実証できない過酷な気象条件での太陽光発電と蓄電池を組み合わせた試験を長期に実証することができるほか、最近は経済産業省が実施する「次世代エネルギー・社会システム実証」において、「北九州スマートコミュニティ創造事業」などで取り組まれ始めているものの、リアルタイムで変化する電気料金制度を用いた節電効果の測定等に関しては、基本的に我が国の電気事業規制のより容易に行うことは難しい。

 第2に、日本ですでに有効性が証明された機器やシステムであっても、実際に海外での実証を通じてその有効性を市場に示すことで、初めてその技術的優位性が当該市場で証明されるといえる。

 例えば、日本は過去の技術の蓄積から再生可能エネルギーを少ない系統容量に導入する際の課題と対策について知見を有している。その対策に係る技術や製品について有効性を示すことができれば、同様の課題を抱える地域にも魅力的に映るはずである。

 また、海外実証では、海外の企業や研究所と共同で実証を行うことが多いため、こうした共同実証相手と組んで新たな第三国でのビジネス展開が期待され、現にNEDOの海外実証に参加する日本企業からも、実証を通じた海外企業・機関とのコネクション構築を果たせたとの声もいただいている。こうした実証を通じ、海外市場での日本の技術の普及、つまりシステムインフラ輸出を企図することができる。

 第3に、国際標準化への貢献が期待できる。海外企業と組んだ実証を通じて、共通の標準化に係る技術的なシナリオ(ユースケースという)を共有することで、国際標準化に一歩先んじることが可能となる。

 例えば、電気自動車の充電方式を一つとっても、他国と同様の方式が先に合意できれば、世界的に同様の方式が普及する可能性が高まり、ひいては当該技術や設備に優位性を有する企業が同標準を用いたビジネス展開をしやすくなる。こうした理由から、グローバル市場で競争市場にある我が国産業界の国際展開にあたって重要な役割を果たすことが期待されている。

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吉川 翔茉 Shoma Yoshikawa

 

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) スマートコミュニティ部

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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