ここまで来た、日本のスマートコミュニティ実証事業

スマートハウス、EVインフラなどでシステム輸出も視野に~NEDOの取り組み

2013.12.02(月) 吉川 翔茉
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 NEDOにおいては、数年前から米国、欧州、アジアの世界各国においてスマートコミュニティ海外実証事業を推進しており、実証地域毎に、基礎的な情報(電力市場や事業環境等)の調査を行う段階、より踏み込んだ事業性検討調査を行う段階等、そのフェーズは様々といえるが、今回は実際に実証運転を開始しているニューメキシコ州におけるスマートグリッド実証、スペインマラガ市におけるスマートコミュニティ実証の2案件について紹介することとしたい。

図3:NEDOによる最先端のスマートグリッド・スマートコミュニティ海外実証事業

1. 米国ニューメキシコ州における実証事業
(事業期間:平成21~25年度 総事業予算:約50億円)

 米国ニューメキシコ州においては、米国の電力事情も踏まえた画期的なスマートグリッド実証を行っている。そもそも、スマートグリッドが世界的に注目を集めたのは、2009年にオバマ米国大統領が米国再生・再投資法(ARRA)によってスマートグリッド分野に約45億ドルの拠出を決定したのがきっかけと言われている。

 これにより、米国各地でスマートメーターの設置やスマートグリッドの実証研究がスタートしたのだが、こうした政策を進める背景には米国ならではの特別な理由があった。

 米国では多くの州で、発電、送電、配電が分離されており、電力供給に関連する会社は3000社を超えると言われている。これらの電力会社は日本と異なり、州や郡が管轄していることが多く、さらに全需要家に対してあまねく公平に電気を供給しているというような状況ではない。

 そのため、既存の系統に対して充分な設備投資を行うことができないといった事情が存在し、電力需給バランスの確保に関して供給側だけでなく需要家側にも協力してもらう、デマンドレスポンスというものに対するニーズが非常に高いのである。

 今から10年ほど前に、カリフォルニア州で大停電が起こったが、このとき米国で何が起こったかというと、電力会社が発電会社から電力を購入する卸のところで電力の値段が上がっているにもかかわらず、小売の値段を上げられなくて、安い値段のままになっていた小売りの需要が減らない状況が発生したためにマーケットが安定せず、電力の需給関係が崩壊してしまったのである。

 こうした経験から、米国の電力会社は、電力の卸の値段が上がったときに、小売の値段も一緒に上がらないと、きちんとマーケット・メカニズムが働かないということを痛感した経験がある。

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吉川 翔茉 Shoma Yoshikawa

 

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) スマートコミュニティ部

エネルギー戦略

20世紀の社会を築き、支えてきた石油。しかし世界的な環境意識の高まりの中で、石油依存社会の限界が明らかになりつつある。石油はいまどうなっているのか。石油社会の次を築き、新世紀を切り開くイノベーションは何か。その最先端の姿をリポートする。

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