富士重工業の「フォレスター」が北米で快走を続けているという。日本経済新聞によると同車の在庫は約2週間しかなく、「太平洋上を輸送中に販売先が決まってし まう」状況だという。アベノミクスによる円高是正で輸出採算も大幅に改善、将来のための研究費を100億円ほど上積みすることを決めた。
アベノミクスの効果、じわりじわり顕在化
一方で、東芝やエルピーダメモリもほぼ2年ぶりに半導体の増産投資を再開させた。このところ日経平均は鳴かず飛ばずの状態が続いているとはいえ、確実にアベノミクス効果は浸透し始めている。
この流れを本物にし、日本経済を確かな成長軌道に乗せるのが政治の役割だろう。
揚げ足取りに奔走するだけでなく、野党も具体的な成長戦略を披露し、前向きな議論を仕かけてはどうか。
中国や韓国が盛んに仕かけている日本に対するネガティブキャンペーンには辟易するが、これも沈没しかねなかった日本経済を見透かしてのものと言える。
日本経済が本格的に強さを取り戻せば、そういった類の攻撃も収まらないにせよ下火になってくる可能性が高い。弱肉強食が当たり前の世界では、弱さを見せれば徹底的に叩かれるものだからだ。
一方、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は、米国による中国の国家資本主義包囲網という側面を持っている。
自由貿易は日本経済にとって背骨のような存在である。大市場を背景にした中国による我田引水型の貿易が勢力を増して良いことは何もない。TPPの是非にはこうした点への関心も不可欠だ。
もちろん、日本の農業への影響は大きいかもしれない。しかし、例えば前に紹介した宮崎県綾町のケースのように、徹底した有機栽培へのこだわりで、大規模化しなくてもTPPへの対応は十分。それどころか歓迎するとまで言い切る地域もある。
規模では世界第5位と言われる日本の農業を本質的に強くできれば、日本経済の基盤は磐石になる。それには弱いから守るのではなく、徹底的に強くする戦略への転換が不可欠だ。日本人のアイデアと工夫をもってすれば不可能ではないはずだ。
参院選後、アベノミクスはどこへ向かって進んでいくのか。
農業問題も含め、アベノミクスは衆参両院のねじれが解消した後が実は正念場だと産業競争力会議のメンバーであり安倍内閣のブレーンの1人である竹中平蔵・慶応大学教授は話す。
そして、日本経済が浮揚できる最後のチャンスとも言い切る。最新刊『竹中先生、日本経済 次はどうなりますか』(アスコム、税抜き952円)を発売したのを機に竹中教授に日本経済の行方を聞いた。