日曜日夕方のシェムリアップ空港。乗るのは夜遅い便だというのに、エアコンの冷気を求めて早々に市内から引き揚げ空港にやって来た。水に囲まれ都市化も進んでいないこの町は東南アジアの中でも比較的涼しく感じる。しかし、やはり熱帯である。1日中外にいたため汗に埃が張り付いて気持ちが悪い。
50倍も違うホテル代
カンボジアでの取材を終えて帰国するこの日、バイクに簡単なコーチを取り付けたトゥクトゥクと呼ばれる東南アジア独特の乗り物を利用してアンコール遺跡群を駆け足で回った。
時速40キロほどで走るトゥクトゥクが受ける風は気持ちがいい。また遺跡群の近くは高い木々に囲まれていて高いところで日差しを遮ってくれるので、開放感も抜群である。
しかし、カンボジアとしては整備されている部類に入る道路もところどころで舗装がなかったり修復中だったりで、対向車とすれ違ったりバスに抜かれたりすると赤茶けた砂埃があたり一面を覆い息苦しい。
汗かきに欠かせない小さいタオルで額や腕の汗を拭うと、瞬く間に白いタオルが赤く染まった。仕方がない。何せトゥクトゥクの料金は1日12ドルだ。
シートの下には氷を入れたアイスボックスがあって、冷たい飲料水もサービスしてくれる。
それだけの金額を払うのも嫌なのか、欧米の観光客は1日1ドルというレンタルサイクルで遺跡群を回っている人が多いが、こちらには自転車で回るほどの時間の余裕がない。
広い遺跡群を急ぎ足で回り証拠写真だけ撮って夕方、荷物を預けてあるホテルに引き揚げる。しかし、1泊28ドルで泊まったホテルの部屋にはエアコンもあり快適だったものの、ロビーやバーに空調はない。
前日取材に行った最高級ホテルのアマンサラは、1泊がプライベートプールなしの部屋で950ドル、ありの方は1250ドルと聞かされていたので、50倍近い価格差にロビーの空調なしには十分納得して、冷気の楽しみは空港までお預けとした。
というわけで有り余る時間を空港ロビーで過ごすことになり、こじんまりとしたシェムリアップ空港のチェックインカウンター付近に長時間居座ることとなった。