日本政府による尖閣国有化を発端とした対日制裁に、中国政府は「因果応報」という言葉をしばしば使い、「数々の報復措置は日本に起因する」と主張している。そして、「抵制日貨」(dizhi rihuo、「日本製品をボイコットせよ」の意)というスローガンを使い、国民を反日デモに駆り出した。
ところが、今まったくこれと同様の排斥がアメリカで起きている。「抵制中企」(dizhi zhongqi)、すなわち「中国企業を排斥せよ」という空気がアメリカで広まっているのだ。
日本企業は中国で「抵制日貨」に苦しめられたが、中国企業はアメリカで目下この「抵制中企」(中国企業をボイコットせよ)に苦しめられている。
立て続けに中国企業を排斥するアメリカ
10月8日、米下院の情報特別委員会は、中国の通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)が製造する部品を、米政府の通信システムから排除することを求める報告書を公表した。
華為技術のプログラミングはハッカーの侵入を許し、データを盗み取られる頻度が非常に高いものだったという。スパイ活動の意図は拭えず、中国当局の影響を受けるとされる両社がアメリカ市場に浸透すれば、安全保障上の脅威となりかねない。報告書には米企業の買収阻止や取引の自粛も盛り込まれた。
続いて10月18日には、中国建機大手の三一集団が、アメリカでの風力発電所計画が不当な中止命令を受けたとして、オバマ大統領を提訴した。
三一傘下の米企業が3月にギリシャ企業からオレゴン州の風力発電所建設計画の建設権利を買収して、建設工事を進めてきた。投資額は2000万ドル(約16億円)に上るという。しかし、風力発電所の建設場所が米海軍の訓練に使用される制限地域に抵触することから、アメリカの対米外国投資委員会(CFIUS)は7月、国家安全上の理由から建設工事の中止を三一側に通告し、9月、オバマ大統領が建設中止を命じる大統領令に署名した。
また10月20日には、北京卓越航空による米航空機メーカーのホーカー・ビーチクラフトに対する買収が破談となった。さらに、中国自動車部品会社の万向集団が米電池メーカーA123を買収しようとしていたが、これも実現しなかった。
米ウォールストリート・ジャーナル紙は「国家安全保障を理由にしたCFIUSの措置は、中国のアメリカ投資に対する排斥だ」と評している。
これに対して中国紙の環球時報は、こんな論評を掲げた。「対華友好是美国的現実選択」(中国との友好はアメリカの現実的選択)というもので、アメリカの中国への強硬政策が両国に招く損失について、次のように記した。