食品に表示されている「消費期限と賞味期限」を学び直すため、東京農業大学客員教授の徳江千代子さんに話を聞いている。徳江さんは、東京農業大学の前食品加工技術センター長で、『賞味期限がわかる本』などの著書を出している。
前篇では「消費期限」は「おおむね5日以内の、超すと危ないことを意味する期限」であり、「賞味期限」は「製造メーカーが品質を確実に保証している期限」であるといったことを聞いた。そして、これらの期限を設定しているのは主に食品製造者だという。本当の期限よりも低く見積もる「安全係数」をかけるが、あまりにこの係数を厳しく設定するあまり、まだ食べられる食品も廃棄されてしまう現状があるようだ。
後篇では、賞味期限後や開封後の食品の品質をいかに長く保つか、その知恵を徳江さんから聞くことにしたい。食品が劣化する要因と、その要因を減らすための知恵、さらに“食べられる・食べられない”を判断する感覚の大切さを語ってもらった。
「常温で保存」と書いてあったらどうする?
──後篇では、食品の消費期限や賞味期限との実際の付き合い方をお聞きします。消費期限にも賞味期限にも、保存方法に様々な表示がありますが、とりわけ消費者が知っておいた方がよいことはありますか?
徳江客員教授(以下、敬称略) 開封前の保存方法に「常温で保存」という表示があります。これは、摂氏15度から20度で温度変化の少ない場所に保存することを意味しています。例えば、日の当たらない廊下に置かれたトレイなどが当てはまりそうです。
逆に、熱の発する電化製品や、火の出るガスレンジの近くなどは、温度変化が激しすぎるため、未開封でも開封後でも保存には適していません。
──他に、食品を保存する条件として「冷暗所」と書かれているものもあります。
徳江 冷暗所は、常温よりも温度の低い、つまり15度以下で、光の当たらない場所を指します。昔の日本の一軒家の台所は夏でもひんやりしていて、冷暗所にふさわしい場所でした。しかし、冷暖房完備の新しい住宅では、この条件に当てはまりません。冷蔵庫の野菜室が、冷暗所の条件に近いと言えます。