食べものの4分の1が食べずに捨てられる国

学び直しの「消費期限と賞味期限」(前篇)

2012.08.24(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

 「食の安全」を専門家に問うこのシリーズでは、第1弾として「食品添加物」を、第2弾として「遺伝子組み換え食品」を取り上げてきた。人びとの持つ「体によからぬもの」や「得体の知れないもの」という印象と、専門家が説く安全性とのギャップの大きさも見えてきた。

 今回取り上げるテーマは「消費期限と賞味期限」だ。9割以上の人が、スーパーマーケットやコンビニエンスストアで食品を買うとき、これらの期限が書かれた食品品質表示を見ているという。新鮮なものを食べたい、あるいは“悪くなりかけ”のものを食べたくないといった感覚が強いのだろう。

 「とにかく期限が来たら食べるのをやめればいい」と一律に考えてしまいがちな、消費期限と賞味期限。しかし、似て非なる言葉が2つあるからには、それぞれの意味する中味は違うはずだ。この2つの「期限」と、どう向き合えばよいのだろう。

 そこで、消費期限や賞味期限にまつわる疑問を、東京農業大学客員教授の徳江千代子さんに投げかけた。徳江さんは東京農業大学の前食品加工技術センター長。著書『賞味期限がわかる本』では、多岐にわたる食材を長持ちさせる保存方法などを著して評判を呼んでいる。

 前篇では、消費期限と賞味期限の意味するところを整理してもらった上で、だれがどのようにこれらの期限を決めているのか、その実情を徳江さんに聞くことにする。期限の決定に科学的裏付けはあるのだろうか。

 後篇では、われわれの生活により引き付けて、これらの期限との賢い付き合い方を、徳江さんに伝授してもらうことにしよう。

似て非なる消費期限と賞味期限

──「消費期限」と「賞味期限」は、それぞれ何を意味しているのですか?

徳江千代子客員教授(以下、敬称略) 「消費期限」の方は、分かりやすく言うと「おおむね5日以内の、超すと危ないことを意味する期限」という意味です。例えば、弁当や総菜、パン、肉などの腐敗しやすい食品に対して、消費期限が示されています。何月何日の何時までという時刻まで決められています。

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


食の万華鏡

食の安全に対して国民の関心が高まっている。今後、安全で美味しい食の供給国としての日本を考えた時にもこの問題は重要になる。食の安全の話題を中心に、食トレンド、食品マーケットなど、食にまつわる様々なテーマを取り上げる。