「食」の安全性をめぐる話題は、高濃度放射能汚染食品からジャンクフードまで実に様々ある。いま世の中で「これは危険」と見なされている食や、食の含有物は、本当に危険なのだろうか。危険だとすればどのくらい危険なのだろうか。

 このような疑問を、毎回テーマごとに食の専門家にぶつけてみて、「食と安全を巡る本当のところ」を、前後篇で伝えていきたい。

 第1弾として取り上げるのが「食品添加物」だ。法律では「食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用するもの」(食品衛生法)と定義されている。

 コンビニエンスストアなどの食品の成分表示に並ぶ、保存料、甘味料、着色料などの文字。「食品添加物」というと「極力、避けるべきもの」と捉えられがちだ。

 では、いま食品に使われている食品添加物を私たちが体に摂り込むと、本当に人体に影響があるのだろうか。

 そんな疑問を、大妻女子大学家政学部の堀江正一教授に投げかけた。堀江教授は、埼玉県衛生研究所での長年の勤務歴を経て、現在は食品添加物の安全性や有用性に関する研究をする専門家だ。

 前篇では、誰がどのように食品添加物の使用を認めるのか、安全性をどう保証しようとしているのか、聞いてみる。

 後篇では、流通する食品中の食品添加物の量をどのように検査するのか、そして、食品添加物が入った食品は安全なのか危険なのかという結論に迫りたい。

食品添加物の効果は自然の物質と同じ

──食品添加物というと、自然界には存在しない人工的なものの印象がありますが。

堀江正一教授(以下、敬称略) そうですね、しかし人々は昔から、食品を着色したり保存するために、自然界にあるものを食品添加物として使ってきたと言えます。