「一日許容摂取量」の添加物を毎日食べるとどうなるのか

“嫌われ者”食品添加物を正しく理解する(前篇)

2012.04.20(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

──有効性に関連して、食品添加物の用途にはどのようなものがあるのですか?

堀江 用途をまとめました。表を見てください。

食品添加物の用途と種類

動物実験で「無毒性量」を見つけ出す

──食品添加物を使いたがるのは食品メーカーなどの企業。対して、誰がどのように、その食品添加物を使ってよいと認めているのでしょうか?

堀江 国が食品添加物を認める制度の枠組みには、添加物製造メーカーなどの企業、厚生労働省、それに内閣府の食品安全委員会の存在があります。

 添加物製造メーカーが新しく開発した食品添加物を使いたいとします。そこでメーカーが安全性と有効性を示す資料を揃えて、厚生労働省に申請します。

 申請を受けた厚生労働省は、食品メーカーからの資料を食品安全委員会に投げてリスク評価を依頼します。食品安全委員会は、その食品添加物の毒性などを検討し、「この量なら摂取しても安全」という値を出します。このリスク評価の結果を厚労省が受け、新たな食品添加物に指定するか判断するのです。

──「この量なら摂取しても安全」という値を、どう出すのですか?

堀江 人間に食品添加物を大量に摂取してもらい、毒性がどのくらいかを調べることはできません。そこで、マウスやラットやイヌなどを用いた動物実験をします。まず、「この量なら摂取しても安全」という値を出すために、「無毒性量」(NOAEL)という値を出します。

 無毒性量とは、ある物質について何段階かの異なる投与量を用いて毒性試験を行ったとき、有害な影響が観察されなかった最大の投与量のことです。

 例えば、ふだん使っている食塩も、調味料として使っている分には問題ありませんが、一度に200グラムも摂れば人は死んでしまいます。一方、ある投与量で毒性が出る物質でも、投与量をだんだん減らしていくと、あるところで有害な影響が出ない“閾値”が現れます。その値が無毒性量になります。

 無毒性量は、28日間、90日間などの亜急性毒性試験、1年間など長期間の慢性毒性試験などの「一般毒性試験」と、発がん性、催奇形性などの有無を調べる「特殊毒性試験」によって求められます。

安全係数をかけて「一日許容摂取量」を算出

──しかし、動物実験で出した無毒性量が、人間に当てはまるとは限らないのでは?

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


食の万華鏡

食の安全に対して国民の関心が高まっている。今後、安全で美味しい食の供給国としての日本を考えた時にもこの問題は重要になる。食の安全の話題を中心に、食トレンド、食品マーケットなど、食にまつわる様々なテーマを取り上げる。