■ ユニクロの「ステートメント」「ミッション」「価値観」
ユニクロは理念の会社といえます。何のために働くのか、会社としてどこに向かうかを非常に重視しています。働く人にもそれを入社時から強烈に意識させます。
たとえば、経営理念とは別に、ステートメント、ミッション、価値観を定義しています。
ステートメント
・服を変え、常識を変え、世界を変えていく
ミッション
・本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します
・独自の企業活動を通じて人々の暮らしの充実に貢献し、社会との調和ある発展を目指します
私たちの価値観
・お客様の立場に立脚
・革新と挑戦
・個の尊重、会社と個人の成長
・正しさへのこだわり
こうした枠組みの土台になっているのが「経営理念23カ条」です。ユニクロの前身の小郡商事時代に17条までつくられ、それ以降、年を追うごとに増えて23カ条になりました。
「23カ条」については第2章で詳しくお伝えしますが、これをもとに「全員経営」を実現するための「原理原則」がつくられました。
「23カ条」は小郡商事時代からあることからもわかるように、会社としての基本方針、考え方を示した内容になっています。
たとえば、「顧客の要望に応え、顧客を創造する経営」(第1条)、「良いアイデアを実行し、世の中を動かし、社会を変革し、社会に貢献する経営」(第2条)に始まり、「人種、国籍、年齢、男女等あらゆる差別をなくす経営」(第21条)のように、最近の経営環境に対応した内容も含まれます。
ユニクロでは非常に重要とされている「23カ条」ですが、やはりこれを唱えるだけで日々の業務に生かそうとしても、そのハードルは低くありません。もちろん、一を聞いて十を知るという言葉がある通り、一部の社員は自分で理解を深め、「自分事化」して日々の業務で実践できるでしょう。
ただ、一部の社員だけが実践できても意味がありません。全員が「23カ条」を腹落ちし、実践に移すためには、理念と実践の間にかけ橋が必要になります。それが、「原理原則」になります。
<連載ラインアップ>
■第1回 経営理念を神棚に祀らない ユニクロの理念を実践につなげ生産性を高める「全員経営」の原理原則とは?(本稿)
■第2回 柳井正氏の後継者をどう育てる?ユニクロが取り組む「FGLイニシアティブ」「MIRAIプロジェクト」の相当ハードな内容とは
■第3回 「大ぼら吹きになってください」ユニクロで柳井正氏が創業当初から意識する変革の原動力「3倍の法則」とは?
■第4回 ユニクロで上司に差し戻される目標に決定的に欠けている要素とは? MBO×コンピテンシー評価でつくる独自制度
■第5回 ユニクロの塚越大介氏は44歳で社長に 柳井正氏の「人間25歳ピーク説」と修羅場を積ませる抜擢人事の仕組みとは?
■第6回 柳井正氏のゴルフ帰りの気付きも共有 ユニクロ役員が勢ぞろい、月曜朝8時に始まる「週次PDCA」は何がすごいのか?
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