「物言う株主」「ハゲタカ」といった呼称があるように、ネガティブなイメージを持たれがちなアクティビスト。しかし、アクティビストと協業して再建を成功させた日本企業も少なくない。前編に続き、2024年5月に著書『アクティビズムを飲み込む企業価値創造 高ROE、PBR経営実現への処方箋』(日経BP 日本経済新聞出版)を出版した小樽商科大学教授の手島直樹氏に、アクティビストとの協業事例や企業が実践すべきアクティビスト対策を聞いた。(後編/全2回)
■【前編】「残念な企業」を脱して株価急騰、大日本印刷のアクティビスト対応はどこが秀逸だったのか?
■【後編】オリンパスに乗り込み改革を後押したアクティビスト、業績回復後も手を引かない最大の理由とは(今回)
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投資の神様から学ぶ「現代アクティビズム」の要諦
――前編では、アクティビストに狙われやすい企業の特徴や、アクティビスト対応の事例について聞きました。著書『アクティビズムを飲み込む企業価値創造』では、ウォーレン・バフェット氏の実践していたアクティビズム(株主行動主義)について解説していますが、日本企業は「投資の神様」とも呼ばれる同氏から何を学ぶべきでしょうか。
手島直樹氏(以下敬称略) バフェット氏は長期投資家としてのイメージが強く、アクティビストとして学ぶべき対象と捉えている人は少ないと思います。
バフェット氏はかつて、自らが企業の大株主、かつボードメンバーになることで、株主還元の強化のみならず経営・事業戦略の要求も同時に行う「現代アクティビズム」を実践してきました。本書では、「現代アクティビズムの父」とも呼ばれるバフェット氏が自ら取締役に名を連ね、経営改革を断行した2社の事例を紹介しています。
アクティビストとしてのバフェット氏の姿は、現在の同氏のイメージとはかけ離れたものかもしれません。しかし、これからのアクティビストの在り方を学ぶ上で、参考になる点が多くあるはずです。
――今後、株主提案だけにとどまらないアクティビストは増えるのでしょうか。
手島 古典的アクティビズムのように株主還元を求めるだけであれば、企業の外部から声を上げるだけでも良いでしょう。しかし、日本企業に古典的アクティビズムが浸透すれば、次は事業・経営戦略にまで踏み込んだ現代アクティビズムのアプローチが増えてくるはずです。