不確実性の高いプロジェクトの効率化に欠かせない全体最適
そこで私たちが取り入れたのがCCPMでした。これは、新製品開発のように不確実性の高いプロジェクトで無理なく工期を短縮していくための全体最適のマネジメント手法です。
大まかな手順としては、まずプロジェクトに参加するあらゆる部門の関係者が一堂に会して、プロジェクトの目的、成果物、成功基準や課題、部門間の連携のポイントや留意点を共有します。次にその目的を達成するために、必要かつ十分な工程表を作成していきます。
全ての工程をタスクレベルでバックキャストで洗い出し、そのタスクを必要十分な関係を確認しながらつないでいくことで、最速かつ実現可能な工程表を作成します。それによって「今はやらないこと」を明確にし、「今やるべきこと」に集中して、プロジェクト全体の効率を最大限に高めるための工程表が出来上がるのです。
当たり前の話に聞こえるかもしれませんが、スマート血圧計の開発プロジェクトなどの場合、専用の血圧計測装置、データを管理するアプリ、それらを連動させるシステムなど開発内容も多岐にわたるため、全ての現場責任者が集まるというだけで大変です。
そのため、それぞれの部門の事情や課題を共有しないまま開発を進めてしまい、結局その作業が無駄になるといった事態が起こりがちです。最初の段階で関係者が集まる機会を持ち、全員の知恵を結集し、みんなが合意できる計画を立てることで、プロジェクトを手戻りなくスムーズに進められるようになり、こうした事態を防ぐことができます。
また、余裕を持って工程表を作成したつもりでも、経験の乏しい若手社員への指導が十分できておらず、作業の抜け漏れが生じていたり、作業が予定外に遅れてしまうケースもよくあります。経験の乏しい社員がいるなら、ベテラン社員も入り込み、一緒になって工程表を作成する時間を半日設けるだけで、作業の予想外の遅れが防げるかもしれません。
このように全体最適の視点で取り組むことで、誰かの負担を増やしたり、開発期間や品質を犠牲にすることなく、プロジェクトの効率化が図れます。これがCCPMの基本的な考え方です。