写真提供:ロイター/共同通信イメージズ

 

 近年、自社のファンづくりに取り組む企業が増えているものの、成果を上げられないケースも多い。その原因はファンを獲得するために「まず何をすべきなのか定まっていないから」と、マーケティングの専門家は「ファーストフォロワー」の獲得を提唱する。本連載では、ファンづくりに成功しているメルカリやヤッホーブルーイングなど12社への取材をもとに解説した『ファーストフォロワーのつくりかた――事例で学ぶ「製品・サービスの価値をファンと共に生み出す」ためのマーケティング』(高橋遼著/翔泳社)から、内容の一部を抜粋・再編集。

 第3回目は、フリマアプリの最大手・メルカリがコミュニティの役割に着目した理由や、60歳以上限定の座談会、約200人で開催した文化祭の狙いについて解説する。

<連載ラインアップ>
第1回 TED Talksで話題、なぜ1人の変わり者から巨大なムーブメントが生まれたのか
第2回 なぜ「ファーストフォロワー」は、良質なクチコミを生むことができるのか
■第3回 約3610万人の潜在顧客にどう接近? メルカリのコミュニティ戦略の見直しとは(本稿)
第4回 無印良品の熱狂的なファンが、なぜ「メルカリサロン」にスカウトされるのか
■第5回 「メルカリ先生」とつくった「メルカリ教室」は、なぜ価値を生み出すのか(5月31日公開)

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ファンの発信によるポテンシャルユーザーへのアプローチ

 メルカリは、月間利用者2300万人を超える(2023年11月時点)日本を代表するフリマアプリです(図4-1)。メルカリでは、創業当初こそTVCMやデジタルマーケティングによってユーザーを獲得してきたものの、さらなる拡大を目指すための手段としてコミュニティに注目します。その背景には、フリマに出品したくてもしたことがない約3610万人のポテンシャルユーザーをいかに動かすかという課題がありました。

 近年、ファンとの交流を通して、メルカリはコミュニティをアップデートし、ファーストフォロワーを起点とした価値の共創を目指しています。

■メルカリがコミュニティをつくる理由

 コミュニティを担当する上村氏は、2016年にメルカリに入社後4年間カスタマーサービスの部署に在籍したのち、現在コミュニティや専任講師がメルカリの出品手順や売れるコツを伝える「メルカリ教室」の運営を担っています。

 当時のメルカリジャパンCEOより、既存のお客様に愛してもらえるプロダクトであり続けるために、これまで実施してきていた「メルカリサロン」をはじめとしたさまざまな取り組みを、より戦略的かつ効果的に実施していくことをミッションとして託されました。そこで、カスタマーサービスでファンと近い距離で接していた上村氏がコミュニティチームにとりくんでいくことになったのです。

 もともと、メルカリは2018年から「メルカリサロン」というコミュニティを運営していました。当時はPRが主幹の部署となり、オフラインイベントでメルカリが好きな人どうしのつながりをつくろうとしたものです。このイベントはメルカリで新しい機能を発表した際に、メディアを誘致する目的でも実施していました。上村氏は、その活動を引き継ぐかたちで新しくコミュニティチームを立ち上げます。その背景には、当時の事業課題がありました。

 当時のメルカリは、累計出品数は順調に伸びている一方で、出品したい意向があるものの、未出品の人が約3610万人いると試算。「出品したいけど一歩を踏み出せない」というポテンシャルユーザーにどうアプローチするかという大きな課題がありました。