近年、自社のファンづくりに取り組む企業が増えているものの、成果を上げられないケースも多い。その原因はファンを獲得するために「まず何をすべきなのか定まっていないから」と、マーケティングの専門家は「ファーストフォロワー」の獲得を提唱する。本連載では、ファンづくりに成功しているメルカリやヤッホーブルーイングなど12社への取材をもとに解説した『ファーストフォロワーのつくりかた――事例で学ぶ「製品・サービスの価値をファンと共に生み出す」ためのマーケティング』(高橋遼著/翔泳社)から、内容の一部を抜粋・再編集。
第2回目は、関与度、好意度、影響力の3つの指標を基にファーストフォロワーの特徴を定義。本当に大切にすべき顧客は誰なのかを見定めることの大切さを説く。
<連載ラインアップ>
■第1回 TED Talksで話題、なぜ1人の変わり者から巨大なムーブメントが生まれたのか
■第2回 なぜ「ファーストフォロワー」は、良質なクチコミを生むことができるのか(本稿)
■第3回 約3610万人の潜在顧客にどう接近? メルカリのコミュニティ戦略の見直しとは
■第4回 無印良品の熱狂的なファンが、なぜ「メルカリサロン」にスカウトされるのか
■第5回 「メルカリ先生」とつくった「メルカリ教室」は、なぜ価値を生み出すのか
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■ファーストフォロワーの特徴
ここから、本書では「ファーストフォロワー」の特徴について、次の3つの指標をもとに要件を定義します。
1. 関与度
2. 好意度
3. 影響力
これらの定義をマーケティングにおける顧客の定義と照らし合わせて整理してみます。
1. 関与度
まずは、製品・サービスに対する「関与度」が高いという特徴です。特定の製品・サービスが生まれた段階で、その製品・サービスに対しての関与が高く、リスクを厭わず利用しているという特徴があります。ファーストフォロワーは「イノベーター理論」にあるイノベーターやアーリーアダプターのように、最も近くでその製品・サービスに接して、自ら体験することを厭わない人物です。多くの場合、他者の評判などを気にすることなく、自身の価値基準によってその製品・サービスを利用する傾向にあります。
2. 好意度
次に、製品・サービスに対する「好意度」です。ただ製品・サービスを率先して利用するだけでなく、それらに好意を抱き、時には積極的に支持してくれる人物です。これは、その製品・サービスを愛し、多く購入してくれたり、長い間利用してくれたりするという側面もありますが、支持してくれているが故に、製品・サービスに対するネガティブな声を届けてくれる存在でもあります。ただし、それは単なるクレームではなく、その製品・サービスに対して期待し、応援してくれるからこその行動がクレームとして現れるケースもあります。
3. 影響力
最後に、ファーストフォロワー自身が持つ「影響力」です。これは単にSNSのフォロワーが多いという意味ではありません。「関与度」が高く、「好意度」が高いからこそ、説得力を伴った良質なクチコミを生むことができたり、フォロワーが追随するような行動をとったりすることができる、他者に意識・態度変容をもたらすことのできる影響力を持った人物です。
また、この影響力はファーストフォロワー自身が発するクチコミや行動だけでなく、ファーストフォロワーの生み出すコンテンツを企業が活用することによって影響力が生まれるものもあります。
ここで、ファーストフォロワー=イノベーター層・アーリーアダプター層と定義付けるだけでは不十分なのかと疑問に感じた方もいらっしゃるかもしれません。
本来、イノベーターやアーリーアダプターは、サービスの初期ユーザーという特性はありますが、そのサービスを好意的に受け入れているかどうかは人それぞれです。