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星野リゾートでは、2002年から社内ビジネススクール「麓村塾(ろくそんじゅく)」を開催している。宿泊施設のサービスにはさまざまな知識とスキルが求められるため、学べるテーマは「ワインからデジタルスキルまで」と幅広い。多くの企業で行われている研修制度と異なり、「学びたいときに学びたいことを学ぶ」自学自修のスタイルを貫いているのもユニークだ。麓村塾は星野リゾートの成長にどう貢献してきたのか。人事グループ キャリアデザインユニット ユニットディレクターの鈴木麻里江氏に聞いた。
「企業内大学」特集
■V字回復支えた「ファンケル大学」、現場復帰の創業者はなぜ設立を唱えたのか
■何を学ぶか決めるのは会社ではない 星野リゾートが麓村塾を続ける本当の狙い※本稿
■自主性重んじるソフトバンクの企業内大学、主役は勝手に燃える「自燃層」
■「やってみなはれ」を海外にも、サントリー大学で世界中の従業員が学ぶこと
■「戦後初の赤字」から急回復、住友電工の再建を支えた“教育”の大きな力
■デジタル時代だからこそ「現物教育の重要性が増している」、住友電工の“現場で育てる”モノづくり人材育成法
■「気骨ある異端児」を育てるために、住友電工が行う“上司の改革”へのアプローチ
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講師は社員が担当、施設単位で独自に実施する講座も
——麓村塾を設立したきっかけは何だったのでしょうか。
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2012年星野リゾート入社。全国3カ所の施設での勤務を経て、「星のや京都」へ異動。2016年に学習休職制度を使い、経営学修士を取得。復職後は立候補制度により「星のや京都」のユニットディレクターに就任。2019年、再度立候補により人事グループに異動し、2020年より現職。
鈴木麻里江氏(以下敬称略) 星野リゾートは1914年の創業以来、長らく長野県の軽井沢で「星野温泉旅館」という1つの旅館を営む会社でした。転機となったのは2001年、「リゾナーレ八ヶ岳」の再生を引き受けたことです。以降、所有と運営を分離した「運営特化型」のビジネスモデルへと舵を切り、今に至っています。
ビジネスモデルを転換した当初は、顧客満足度向上と収益の確保を両立した施設運営を担える人材の育成が急務となっていました。そこで、中長期的な視点で人材を育成する「社内ビジネススクール」として、2002年に麓村塾を設立することになったのです。
とはいえ設立当初は小規模なもので、代表の星野佳路が自ら施設の運営に必要なビジネススキルを社員に講義するような場でした。それから20年余りが経過し、当社が運営する施設は68施設に増え、社員も4000名を超えています。会社の成長に伴い麓村塾も進化し、現在は、さまざまなスキルやバックボーンを持った社員が講師を担う形で運営しています。
——麓村塾では、年間にどのくらいの講座を運営しているのでしょうか。
鈴木 年間で100から150の講座を運営しています。全社員に共通する基本的なビジネススキルに関する講座はグループ全体のキャリアデザインを担当するユニットが企画・運営しますが、施設単位で独自に実施する講座もあります。
一例を挙げると、その土地の文化をより深く理解するために、フィールドワークを伴う講座を施設独自に開催する、といった流れです。施設ごとに運営上の課題や優先度は異なるので、その課題や優先度に応じてどんな講座が必要かを、各施設が自主的に判断し、企画できるようになっています。