Rawpixel.com/Shutterstock.com

 多くの企業の人事担当者から注目を集める富士通 執行役員EVP CHROの平松浩樹氏が「キャリアオーナーシップ」について語った、富士通と富士通ラーニングメディア共催のセミナー「第10回 Fujitsu 人材育成セミナー」第1部(採録記事はこちら)。その内容を受けて、ニッセイ情報テクノロジー人財開発室 室長 平井繁行氏と、日本精工デジタル変革本部変革推進室 室長 徳増誠氏、りそな銀行人財サービス部 人財育成室 グループリーダー 榊原風慧氏の3名が、自社の「人材育成」と「組織開発」の取り組みについて、現場のリアルな実情を交えながらトークセッションを行った。

三者三様のキャリアを軸に活躍する人財育成リーダー

 ニッセイ情報テクノロジー社でNISSAY ITアカデミー教頭を務める平井氏は、採用や育成など人財開発系キャリアを軸に、アプリ開発やIT営業も経験。それぞれのキャリアを活かした育成施策を企画・運用している。2020年からは日本生命グループ全体のIT人財やDX推進担当者の育成も担っている。

 日本精工(NSK)でデジタル変革本部変革推進室の室長を務める徳増氏は、BPRやIT戦略立案、グローバル標準化などITコンサルティングの経験を積んだ後に入社。近年はDX戦略やチェンジマネジメント、デジタル人材育成など、主にデジタル系の分野で活躍している。

 りそな銀行人財サービス部人財育成室でグループリーダーを務める榊原氏は、2支店で法人営業を担当した後、経済産業省へ出向し製造業の課題解決と「ものづくり白書」の編さんに従事。現在は育成企画や研修運営業務などを担当している。

 三者三様の経歴を持つ人材育成のリーダーたちが、第1部のパネリスト・平松氏が展開したテーマ「キャリアオーナーシップと人的資本経営」」について、それぞれの立場で語った。

事業戦略と人材・組織を結び付けるための取り組み

榊原 風慧氏/りそな銀行 人財サービス部 人財育成室 グループリーダー

入社後、首都圏の複数支店において主に法人のお客さま向けのコンサルティング営業を担当。その後、官公庁への出向等を経て2021年10月より、りそな銀行及びグループ全体の育成企画・運営を担当。グループパーパスである「金融+で、未来をプラスに。」を実現するための研修やキャリアサポート施策全般を取りまとめている。

 ひとつめのトピック「事業戦略と人材戦略とのリンク」では、各社の事業戦略と人材戦略、組織開発の結びつきについて、事例を交えながら紹介された。

 榊原氏は「非常に難しいテーマ」と前置きをしたうえで「中期経営計画の中で『金融プラスアルファ』を掲げ、そのなかで大きく2点について取り組んでいる。1点目は‟越境“。会社と銀行の枠組みを飛び越えて社外の人と交流し、刺激を受けて中長期的にプラスアルファの付加価値に結び付けていくために、社員を多く他社へ派遣して‟越境”経験を積み上げる」という。2点目は支店長をはじめとする「リーダー層への取り組み」だ。リーダーとしての軸を持ってもらうために、リベラルアーツや古典、教養などを支店長にインプットする「リベラルアーツカレッジ」の創設を挙げた。「金融プラスアルファの付加価値をつくるための取り組み」と語る。