楽天・佐川急便との連携で、さらなる効率化と価値創出を目指す
五味氏 最後に、物流に関して直近で取り組んでいる、楽天グループさん、佐川急便さんとの連携による価値創出についてご紹介します。
まず、楽天さんとの現状です。ご案内のとおり、JP、日本郵便と、楽天さんとが共同出資をした形で、JP楽天ロジスティクスという会社をつくりました。ECの拡大に当たり、やはり、われわれとしては物流の課題にしっかりと向き合わなければいけません。そのような中で、楽天さんと取り組みを進めさせていただいています。従来より、ゆうパックやゆうパケットという分野では連携をしてきたわけですが、やはり、競合に対して競争力を向上させるために協業の関係を強化していこうと、この会社をつくりました。
特にコンセプトにしているのは、この図に示したようなことです。ユーザーというのは、最終の購入者さまです。「欲しい時に、欲しい物を、欲しい場所で、一度で受け取る」という、受取人のニーズがあります。荷主というのは、店舗さまです。「出荷のキャパシティーを拡大し、物流のサービスを向上させ、当然コストも下げていく」という、差出人のニーズがあります。差出人は、主に楽天さんの出店者さんを想定しています。
このように、送る側、受け取る側に加え、われわれのような物流の従事者についてもDX化を進めていく中で、それぞれのステークホルダーがしっかりと安定的に業務を回し、ECの成長を支えていけることを目指していきたいと考えています。
具体的には、お客さまのUXという意味で、今、楽天さんと連携し、「おまとめアプリ」という構想を進めています。お買い物マラソンという企画もありますが、それぞれのお店で買った物のオーダーをまとめ、何度も受け取るのではなく、受け取りの手間を抑え一発で好きな時に受け取れるというものです。
一方、物流の面では、売れ筋を分析しながら在庫を最適な配置にしていき、1番効率的な形で物を流していくという取り組みも進めていきたいと思っています。具体的に取り組んでいるのは、この図にあるように、できるだけ事前に売れ筋を予測し、在庫を消費者により近いところに分散して送り込んでおくというものです。消費者に近いところの在庫から引き当てをかけ、直送化などを進めていく中で、コストやリードタイムも含め、より効率的な物流を組んでいこうと考えています。
まさに中間の手間がなくなるということを、今、実証しています。直送化によって、手間そのものがかなり簡素化され、物流のキャパシティーが増えます。それを、ユーザーの利便性にも役立ていくということを考えています。
これは模式的な絵ですが、具体的には、今、楽天さんの東日本の大きな出荷点が、千葉県流山市にあります。都内に配る場合、今までは、ハブ&スポークのネットワークに乗せ、接続をして、このような形で幾つかの点を中継しながら回していました。しかし、例えば、この配達局単位の中で一定の物量がまとまるのであれば、直送化をすることによって、継越(つぎこし)の手間が省けます。これによって、リードタイムも相当程度セーブできるので、受注の時間を遅らせることなどにも寄与できるかと思います。
最後に、佐川急便さんとの協業についてです。小型の宅配荷物を輸送したり、逆に、大型のものは佐川さんのネットワークで助けていただいたりと、それぞれの得意分野により特化させながら、共同で配送を進めていこうとしています。本日は、この中でも、テーマに沿って、「幹線輸送の共同化」の取り組みについて少しご紹介します。
今進めている例は、2つあります。図の上の例は、佐川さんのネットワークにわれわれが相乗りをするケースです。逆に、下の例は、われわれのネットワークに佐川さんに乗っていただくケースです。フェリーなどを共同で利用することで、まさに一本に仕立て、効率的な輸送にしていこう、トラックの便数などを削減していこう、という取り組みを進めています。
下の例は、トラックの空きスペースなどを分析し、浜松東京便でJPと佐川さんの荷物を混載し、それぞれの拠点に下ろしていくというものです。そのようなことによって、運送の効率を高めていくことにもチャレンジしています。
少し雑ぱくなお話になりましたが、郵便・物流それぞれの分野で、われわれが取り組んでいる課題についてご紹介しました。これから時代が進むとともに、われわれは事業の変革をまだまだ加速させていかなければいけません。社内の力やデジタルの力を使いながら中のオペレーション形態を変えていくものと併せ、社外のステークホルダーの皆さん、競合の皆さんや隣接分野の皆さんとも連携を重ねていくことで、変革の取り組みをさらに加速していこうという動きについて、ご紹介しました。
日本郵便は、これまで、郵便ネットワークで日本全国の皆さまにサービスをお届けしてきました。これからも、時代の変化に応じてわれわれ自身も生まれ変わりながら、物流事業者としてしっかり競争力を確保できるようにチャレンジを続けていきたいと思います。これからの日本郵便の取り組み、また、JP楽天ロジスティクスも含めたグループ各社の取り組みについて、ご期待いただければと思います。
私からの説明は以上です。ありがとうございました。