ロボティクスやドローンの活用で、物流現場の課題を解消する

五味氏 次に、ロボティクスの活用についてです。これも動画中に出てきましたが、ロボティクスが担う分野はターミナルの業務です。これは、従来は少し力持ちの方、特に深夜労働の若い男性を中心に労働力を集めていました。どちらかというと、夕方に集めて翌朝にどれだけ配るかというのが、われわれの業務の主たるところだったからです。

 しかし、このターミナルの業務というのは、大きく言えば、着いたトラックに載っているものを区分するソーティングマシンのところまで持っていき入り口に供給する、そして、その区分されたものを出口からまたロールボックスに積み込んで、トラック便に送り出すという業務です。特に、この供給部のところについては、ロボティクスの技術が使えるだろうと思います。スタートアップ企業や先端技術を確認しながら、技術の導入につなげていきたいと思っています。

 また、トラックのホームから区分機の入り口、逆に、区分機の出口からまたプラットホームのところまで搬送していくという部分は、AGVを含め、搬送の機器もかなり進化してきました。この辺りも、人手による肉体労働からロボットに代替していくことを積極的に考えていきたいと思っています。

 これは、実証実験の例です。供給の自動化、搬送の自動化の例として、このような取り組みを進めています。

 最後は、ドローンです。法制への対応などもあり、直近でも、レベル4の実験を日本で初めて行い、少し報道等もしていただいています。技術面の課題、制度面の課題などがさまざまありますが、徐々に実装が進んできていると思います。

 ドローンで非常に問題になるのは費用対効果ですが、回転を上げるという観点では、多頻度を小ロットでということになります。われわれの扱うものは軽量物が多く、また、遠隔地まで含めてネットワークを維持しなければいけないということもあります。そのような中では、ドローンの実装に向け、われわれがある意味で業界をリードし、引っ張っていく条件が整っているのではないかとも思っています。

 初期の段階では、全部を入れ替えるのではなく、この図にあるような遠隔地の負担の高いところを中心に、ハイブリッドで運用していくのがよいと思います。一対一で人を置き換えるという形ではなく、ロボットと人をハイブリッドにしながら、特に負担の高いところから、人の割合を徐々に解放していくという形が、実装への近道だと考えています。

 これは、将来イメージを模式的に描いたものです。特に遠隔地などから徐々に実装を進めていき、地方部まで含め、われわれのネットワークがしっかりと維持できるようにしたいと思います。人の確保が非常に難しいエリアもあるので、ドローンも含めた技術を徐々に導入していき、人手不足の問題にも対応していきたいと考えています。