ヤマト運輸を傘下に持つヤマトホールディングスは、2020年に経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」を策定し、データ・ドリブン経営を進めている。経営構造改革プランに基づき、現在は2021年に策定した中期経営計画「Oneヤマト2023」のもと、コーポレートトランスフォーメーション(CX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)、イノベーションを3本柱とし、事業構造改革、基盤構造改革を推進中だ。その主な戦略と要点、そしてデータ・ドリブン経営の実現に必要な視点と具体的な施策について、ヤマト運輸 執行役員(DX推進担当) の中林紀彦氏が語る。

※本コンテンツは、2022年12月7日(水)に開催されたJBpress/JDIR主催「第2回物流イノベーションフォーラム」の特別講演1「ヤマト運輸が挑むDX〜データ・ドリブン経営に取り組む企業に必要な3つの視点〜」の内容を採録したものです。(役職等は講演時点のもの)

次の100年に向けた経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」を推進中

 ヤマトホールディングスは1919年創業、売り上げ規模約1兆8000億円という巨大な企業だ。2021年度は1年間を通じて22億7562万個の荷物を運んでおり、クロネコメンバーズと呼ばれる個人向け会員数は約5400万人以上。取扱店は約16万店、社員数は約21万人、営業所は全国各地に約3400拠点と、膨大なフィジカルでの接点とリソースを誇る。

 現在ヤマト運輸では、1976年に発売した宅急便をはじめとする従来のビジネスモデルだけでなく、さまざまな取り組みを進めている。「当社は経営構造改革プラン『YAMATO NEXT100』に基づき、次の100年の成長に向け、大きく変わろうとしています」と語るのは、同社執行役員DX推進担当 の中林紀彦氏だ。

 現在、2021~2023年度の3年間の具体的な計画を描いたヤマトグループ中期経営計画「Oneヤマト2023」のもと、各取り組みを推進している。その骨組みとなるのがCX、DX、イノベーションという3つの基本戦略だ。「お客さま、社会のニーズに正面から向き合うCX、勘と経験に基づいた経営からデータに基づいた経営へと転換するDX、共創により物流のエコシステムを創出するイノベーションです。これらを実現するため、3つの『事業構造改革』、3つの『基盤構造改革』をそれぞれ定義しています」と中林氏は解説する。