* 本コンテンツは以下講演の【講演動画】と【全文採録記事】で構成しています *
第3回 物流イノベーションフォーラム
特別講演3「日本郵便のロジスティクス事業展開」

開催日:2023年4月25日(火)
主催:JBpress/Japan Innovation Review

 コロナ禍によるEC市場の拡大や2024年問題など、事業構造の変化の渦中にある物流業界。その中で「物流業者としてのプレゼンスをより一層高めていく必要がある」と語るのは、日本郵便の執行役員であり、ロジスティクス事業部長である五味儀裕氏です。(2023/4/25現在)

 五味氏は郵便ならではの強みを武器とした付加価値の創造の重要性を説き、そのためには「ポスタル・デジタルトランスメーション(P-DX)」が必要だと話します。同社では、AIや自動運転等のIOTやロボティクスの新技術の活用による、郵便・物流のオペレーションを進化させるあらゆる施策、実証実験が始まっています。また楽天グループと設立した新会社JP楽天ロジスティクスで実現を目指す配送効率化や、佐川急便との幹線輸送の共同化の取り組みなど、協業関係の強化にも力を入れています。

 競争力のあるオペレーションの確立に向け、日本郵便が目指す郵便・物流イノベーションとは。五味氏がその詳細を語ります。

【TOPICS】

  • 事業構造の変化――郵便から物流へ
  • 郵便事業の強みを生かす
  • 「ポスタル・デジタルトランスフォーメーション」と2024年問題への対応
  • 個別最適化された新しいネットワークの確立へ
  • 先端技術を活用し、より効率的で高度なオペレーションを実現する
  • 他社との協業・連携事例(1)楽天
  • 他社との協業・連携事例(2)佐川急便
動画挿入位置

日本郵便を取り巻く環境変化と郵便・物流事業の現在

五味儀裕氏(以下、五味氏) 皆さん、こんにちは。日本郵便の五味です。ただ今ご紹介にあずかりました通り、日本郵便でロジスティクス事業を担当しています。本日は、このような機会を頂き大変光栄です。よろしくお願いします。

 それでは、早速プレゼンテーションに入っていきます。まずは、私の経歴です。日本郵便に入社し、経営企画やオペレーションに携わり、今はロジスティクス事業部で物流関係の営業に従事しています。

 本日は、「日本郵便を取り巻く環境変化と2024年問題」という観点で、会社を取り巻く環境について少しご紹介します。その後に、本日のテーマでもある、われわれが内部で「ポスタル・デジタルトランスフォーメーション」と呼んでいる、独自のデジタルトランスフォーメーションの取り組みについてご紹介します。最後に、楽天さん、佐川さんとの協業、連携の取り組みについてもご紹介したいと思います。

 このグラフは、今の会社の郵便・物流事業の推移について、過去10年ほどの経過をまとめたものです。ご案内のとおり、2001年をピークとして、今、郵便物は減少に転じています。2021年までのこの20年間、郵便は4割程度減ってきました。長期の減少のトレンドに入っているということです。その一方で、eコマースの需要が非常に伸びていることもあり、われわれ全体としては、郵便から物流へ、事業そのものを大きくシフトしていくさなかにあると考えています。

 郵便の需要を見てみると、20年間で4割程度、年間2%ずつの減少です。年間2%の減少というのは、諸外国に比べ少し緩やかだといわれています。その原因は、主に官公庁などの行政手続きにおいてデジタル化が遅れ、紙の需要が非常に強かったということです。また、民間のビジネス慣行も、請求書や契約書などが、紙・はんこなどに支えられ、それが郵便物の需要を下支えするという構造もあったとみています。

 ただ、昨今のコロナ禍に伴い行政プロセスがデジタル化し、民間セクターにおいてもテレワークを中心とした働き方に変わっていきました。「脱はんこ」という言葉もありましたが、事務プロセスそのものにおいてデジタル化がかなり進んでくる中で、これからは諸外国と同様、郵便の減少にさらに拍車がかかっていくのではないかとみています。そのような意味では、われわれの事業構造の転換も、それに応じた形でより加速させていかなければならないのではないかと感じています。

 右側のグラフは、利益の水準を示したものです。これは当然、同じ郵便局舎、配達ネットワークを使っているので、一定の案分を用いてということになりますが、われわれは郵便と荷物で業務の種類別の収支も公表しています。実は、以前は郵便の利益が非常に出ていたのですが、直近では荷物で利益を出す構造になっています。これは計算上の話ですが、郵便はなかなか利益が出ないという構造になっています。

 グラフ下の表にあるように、収益・売り上げ規模でも、約10年前には荷物の割合は23%程度であり、郵便と荷物の比率は3対1だったものが、直近では34%、郵便との比率は2対1になってきています。利益については、今、9割以上が荷物の利益です。この事業構図の転換に対して、大きくチャレンジをしながらさらにそれを加速させていく取り組みがより一層必要だと考えています。

 これは公表資料ですが、今競争が激しいといわれている宅配市場の、他社との比較です。それぞれ、今、社名は伏せていますが、青の会社と黄色の会社との競争ということになるわけです。

 全体として、われわれが直近、減収減益傾向であるのに対して、青の会社については増収増益、黄色の会社については増収ですが、利益は若干鈍化しているという傾向です。

 一方で、この利益の水準について見ていただきたいのは、直近の2021年度は少しおじぎをする形で、全体ではわれわれも苦戦をしていますが、その前の3年程度を見ると、実は、荷物でもわれわれがしっかりと利益を上げていたということです。

 当然、決算で上下したり、昨今のいろいろな動きもあるので、当面は少し苦戦をすることも見込まれます。荷物や物流という分野では、われわれはまだまだ弱い部分がありますが、一方で、利益水準などの部分で一定のプレゼンスを発揮しながら、物流事業者、物流で闘う会社として認知いただくことも1つの大きな課題だと感じています。

 これは、過去20年ほどの宅配便の取扱物数の推移です。先ほどお伝えしたように、2001年をピークに、点線で示した郵便物数は徐々に減少を続け、荷物でそれを補うという構造です。

 大口の事業者の取り合いのような部分もあり、直近では、荷物の取り扱いについても、われわれがなかなか苦戦していることが見ていただけると思います。これをもう一度底上げし、荷物の取り扱いもしっかりと増やしていくことが、非常に重要なテーマです。

 ここで少し着目していただきたいのは、左と右の目盛りです。右の郵便の取扱数の目盛りは、左の荷物の目盛りに対して桁が1桁多くなっています。宅配便そのものは、各社の個数を合わせても、ここに表れないものも含めて50億個ぐらいといわれています。郵便は、減っているとはいえ、1社で150億通取り扱っています。逆に、このような郵便の強みも生かし、どのような形で取り組んでいくのかということも、大きなテーマだと考えています。

 例えば、そのような取り扱いの中で、派生的に得られるデータがあります。1番ありていにお伝えすれば、今、約10万人が郵便も荷物も含めた配達に従事しており、われわれは住所録など、ある意味で街の新鮮な情報というものを、日々の配達活動の中から取ることができます。荷物の10倍の密度でこのようなトランザクションがあり、例えば防災分野も含めた公的な分野で、そのような情報を活用できるかもしれません。

 個人情報の取り扱いなどいろいろなものに留意しなければいけませんが、現住の方がどこにいらっしゃるのかという情報や、今問題になっている空き家について、どのようにして空き家になったかという直近の鮮度の高い情報。また、これからのデジタル基盤として、地域の空間情報。これは、この後ご紹介するドローンや自動運転などにおいて、地図基盤の実装が非常に重要なテーマになります。それらを、まさに日々の配達活動の中から取り、付加価値に変えていくような取り組みも、これから重要になってくると考えています。

 いずれにしても、郵便と荷物の取り扱いを巡る大きなトレンドとして、やはり、これからも取扱物数そのものがこのような曲線を描いていくことは避けられないと思います。これに対応し、われわれがデジタルの力も用いながら、どのように事業変革にチャレンジをしていくのかについて、この後少しご紹介できればと思います。

P-DXの推進と2024年問題への対応

五味氏 これは、中期経営計画から抜粋した図です。われわれは「JP ビジョン2025」と呼んでいますが、その中で、「データドリブンによる郵便・物流事業改革」を目指し、P-DX、「ポスタル・デジタルトランスフォーメーション」として、さまざまな取り組みを展開しています。

 本日は、この中から「オペレーションの効率化」を取り上げ、オペレーション分野で、具体的にどのようなことにチャレンジしているのかということを中心にご紹介したいと思います。

 もう1つが、「2024年問題への対応」です。これは物流事業者各社が直面している課題です。われわれも、輸送モードの8割超はトラックで行っており、2024年問題への対応が非常に重要になってきます。

 さまざまな法令への対応や、働きやすい職場環境の整備としては、従前より、ロールボックスパレットを用いて運送するパレチゼーションを採用するなどしています。他社と共同運行、共同配送をしていくような取り組みや、また、自動運転化などの流れの中で先端技術を活用しながら、どのような取り組みができるのかということにもチャレンジしています。この後の事例の中で、このようなところも意識しながら、直近の取り組みをご紹介できればと思います。

 では、「ポスタル・デジタルトランスフォーメーションの取り組み」というテーマについては、動画をご用意していますので、ご覧ください。

(ムービー放映。ぜひ2ページ目の動画を再生しご覧ください。10分58秒頃に流れます)

 はい、ありがとうございました。この動画は、社内外で使えるようにと編集したものです。動画の内容についても、この後少し触れていければと思います。

先端技術を活用し、新しい物流ネットワークを構築する

五味氏 この図は、われわれを取り巻く環境変化です。

 郵便物が減少し、荷物が増えてきます。それに対してデジタル化を行います。一方で、人口減少や少子高齢化による労働力不足で、従来と同じ労働力の編成はなかなか難しいという問題にも直面していると思います。そのような状況に対し、AIや自動運転をはじめとしたさまざまな新技術を積極的に活用してオペレーションを進化させていき、持続可能で競争力のあるオペレーションを確立していきたいと、そのような趣旨で取り組みをまとめているものです。

 これは、動画の中にも出てきたそれぞれの取り組みを、業務プロセスに応じてプロットしているものです。

 図の左上にあるようなロボティクスの部分は、ターミナルでの業務です。中で仕分けをするソーティングセンターでの業務で、特に深夜帯の労働などが非常に多いので、これらをロボットに置き換えられないかということは、非常に力を入れて進めているところです。一方で、人的なものも含め一番リソースを割いているのは、図の右側のデリバリー、いわゆる集配業務です。この業務をどのような形で効率化し、生産性を上げていくのかというのが、重要な観点になってきます。

 バイクを用いる郵便配達に対し、荷物の配達についてはバイクにはあまり載らないので、軽四輪などを用いています。いわゆるルート配送をしているものと、それぞれ個別にルート組みをしているものがあるので、それぞれに応じた形で、テレマティクスと自動ルーティングなどの技術を取り入れていこうと考えています。また、ドローンや配送ロボットなども実装が進んできているので、集配業務の中で生かしていこうと思います。これが全体像です。

 これは、動画の中にも出てきましたが、ネットワークの構成です。今は、地域区分局というターミナルを軸にしてハブ&スポークのネットワークを組んでいます。これからのネットワークは、フィジカルインターネットなどともいわれ、差し出し位置から宛先までがデジタルデータでつながるような形になります。

 今までは、運送便の数をシステマチックに効率化していくために、ハブ&スポークというネットワークが考え出され、これを運用してきたわけです。しかし、荷物の情報が、差し出しのところから配達先までデジタルデータでつながってくる世界観になった場合には、AIを含め自動でルートを計算しながら、アドホックに、まさにインターネットのように最適な形でネットワークをつないでいく形態に変わってくると思います。この後、楽天さんとの取り組みも少しご紹介したいと思います。楽天さんとも、このようなネットワークの思想に基づいたさまざまな実証実験をしています。

 次に、テレマティクスについてです。やはり、日本郵便はバイクの配達員の数が非常に多く、今、全国を5万5000ぐらいの区に割り、全ご家庭、全事業所の宛先を、まさに一筆書きにするような形のネットワークで回っています。位置情報をもとにした区割りをしたり、日常管理の中で配達員とつながったりすることで、相互の応受援などを考えていきます。また、熱中症や大雪などがある中で、配達員が安全に業務運行ができているのかどうかについても、しっかり確認をしていこうと考えています。

 テレマティクスというのは、一般的にはトラック業界などで使われる用語かと思いますが、われわれはスマートフォン端末やGPS機能などを用いて、バイクの配達員の中でも、まさにこのテレマティクスの技術を用いて業務の高度化をしていく取り組みを進めています。このような形で、位置情報を集約し、データをそれぞれ取りながら、さまざまな分析に役立てています。

 一方、これはルーティングのシステムです。荷物の配達などをもとにしたもので、宛先があり、時間帯指定などもあるものなので、日々ルート組みをしています。

 今までは、どちらかというと熟練の社員の勘・コツ・経験のようなものに基づきルート組みをしていたのですが、スタートアップ企業とも連携しながら、ルーティングやナビゲーションなどを使って配達業務の難易度を大幅に下げていきます。誰でも、一定の配達のレベルが出せるルーティングのシステムを考えています。

 まさに今試行的にやっているものですが、この端末の写真を見ていただくと分かるように、今までは、一般的なハンディーターミナルのような専用端末でやっていました。これを、2024年の2月から、全国で14万台程度、全てスマートフォン端末に入れ替えます。アプリケーションの機能の中で、業務変化に対応できるような形にしていこうと考えています。それによって、スマートフォン端末をもとにしながら、誰でもルーティングのエンジンが使えるようになります。

 今、まさに競争環境が変わってきています。従来と違い、今までに宅配の経験がなくても、いわゆるフードデリバリーさんやアマゾンさんなど、ギグワーカーが宅配の業務に参入できるようになってきました。われわれも、業務の難易度を下げていきながら、当然、そのような労働市場にも対応していかなければいけません。そのような危機感もあり、さまざまなシステムを、まさに今進化させ続けている最中なのだと思っています。

 これが、オペレーションのイメージです。このような形で、差し出しデータを頂く時に事前に連携することで、いつ、どれぐらいの荷物が、どのような制約条件の中で届くのかが分かります。それをもとに、ルーティングのエンジンを回し、最適なルート組みをしていこうと考えています。

ロボティクスやドローンの活用で、物流現場の課題を解消する

五味氏 次に、ロボティクスの活用についてです。これも動画中に出てきましたが、ロボティクスが担う分野はターミナルの業務です。これは、従来は少し力持ちの方、特に深夜労働の若い男性を中心に労働力を集めていました。どちらかというと、夕方に集めて翌朝にどれだけ配るかというのが、われわれの業務の主たるところだったからです。

 しかし、このターミナルの業務というのは、大きく言えば、着いたトラックに載っているものを区分するソーティングマシンのところまで持っていき入り口に供給する、そして、その区分されたものを出口からまたロールボックスに積み込んで、トラック便に送り出すという業務です。特に、この供給部のところについては、ロボティクスの技術が使えるだろうと思います。スタートアップ企業や先端技術を確認しながら、技術の導入につなげていきたいと思っています。

 また、トラックのホームから区分機の入り口、逆に、区分機の出口からまたプラットホームのところまで搬送していくという部分は、AGVを含め、搬送の機器もかなり進化してきました。この辺りも、人手による肉体労働からロボットに代替していくことを積極的に考えていきたいと思っています。

 これは、実証実験の例です。供給の自動化、搬送の自動化の例として、このような取り組みを進めています。

 最後は、ドローンです。法制への対応などもあり、直近でも、レベル4の実験を日本で初めて行い、少し報道等もしていただいています。技術面の課題、制度面の課題などがさまざまありますが、徐々に実装が進んできていると思います。

 ドローンで非常に問題になるのは費用対効果ですが、回転を上げるという観点では、多頻度を小ロットでということになります。われわれの扱うものは軽量物が多く、また、遠隔地まで含めてネットワークを維持しなければいけないということもあります。そのような中では、ドローンの実装に向け、われわれがある意味で業界をリードし、引っ張っていく条件が整っているのではないかとも思っています。

 初期の段階では、全部を入れ替えるのではなく、この図にあるような遠隔地の負担の高いところを中心に、ハイブリッドで運用していくのがよいと思います。一対一で人を置き換えるという形ではなく、ロボットと人をハイブリッドにしながら、特に負担の高いところから、人の割合を徐々に解放していくという形が、実装への近道だと考えています。

 これは、将来イメージを模式的に描いたものです。特に遠隔地などから徐々に実装を進めていき、地方部まで含め、われわれのネットワークがしっかりと維持できるようにしたいと思います。人の確保が非常に難しいエリアもあるので、ドローンも含めた技術を徐々に導入していき、人手不足の問題にも対応していきたいと考えています。

楽天・佐川急便との連携で、さらなる効率化と価値創出を目指す

五味氏 最後に、物流に関して直近で取り組んでいる、楽天グループさん、佐川急便さんとの連携による価値創出についてご紹介します。

 まず、楽天さんとの現状です。ご案内のとおり、JP、日本郵便と、楽天さんとが共同出資をした形で、JP楽天ロジスティクスという会社をつくりました。ECの拡大に当たり、やはり、われわれとしては物流の課題にしっかりと向き合わなければいけません。そのような中で、楽天さんと取り組みを進めさせていただいています。従来より、ゆうパックやゆうパケットという分野では連携をしてきたわけですが、やはり、競合に対して競争力を向上させるために協業の関係を強化していこうと、この会社をつくりました。

 特にコンセプトにしているのは、この図に示したようなことです。ユーザーというのは、最終の購入者さまです。「欲しい時に、欲しい物を、欲しい場所で、一度で受け取る」という、受取人のニーズがあります。荷主というのは、店舗さまです。「出荷のキャパシティーを拡大し、物流のサービスを向上させ、当然コストも下げていく」という、差出人のニーズがあります。差出人は、主に楽天さんの出店者さんを想定しています。

 このように、送る側、受け取る側に加え、われわれのような物流の従事者についてもDX化を進めていく中で、それぞれのステークホルダーがしっかりと安定的に業務を回し、ECの成長を支えていけることを目指していきたいと考えています。

 具体的には、お客さまのUXという意味で、今、楽天さんと連携し、「おまとめアプリ」という構想を進めています。お買い物マラソンという企画もありますが、それぞれのお店で買った物のオーダーをまとめ、何度も受け取るのではなく、受け取りの手間を抑え一発で好きな時に受け取れるというものです。

 一方、物流の面では、売れ筋を分析しながら在庫を最適な配置にしていき、1番効率的な形で物を流していくという取り組みも進めていきたいと思っています。具体的に取り組んでいるのは、この図にあるように、できるだけ事前に売れ筋を予測し、在庫を消費者により近いところに分散して送り込んでおくというものです。消費者に近いところの在庫から引き当てをかけ、直送化などを進めていく中で、コストやリードタイムも含め、より効率的な物流を組んでいこうと考えています。

 まさに中間の手間がなくなるということを、今、実証しています。直送化によって、手間そのものがかなり簡素化され、物流のキャパシティーが増えます。それを、ユーザーの利便性にも役立ていくということを考えています。

 これは模式的な絵ですが、具体的には、今、楽天さんの東日本の大きな出荷点が、千葉県流山市にあります。都内に配る場合、今までは、ハブ&スポークのネットワークに乗せ、接続をして、このような形で幾つかの点を中継しながら回していました。しかし、例えば、この配達局単位の中で一定の物量がまとまるのであれば、直送化をすることによって、継越(つぎこし)の手間が省けます。これによって、リードタイムも相当程度セーブできるので、受注の時間を遅らせることなどにも寄与できるかと思います。

 最後に、佐川急便さんとの協業についてです。小型の宅配荷物を輸送したり、逆に、大型のものは佐川さんのネットワークで助けていただいたりと、それぞれの得意分野により特化させながら、共同で配送を進めていこうとしています。本日は、この中でも、テーマに沿って、「幹線輸送の共同化」の取り組みについて少しご紹介します。

 今進めている例は、2つあります。図の上の例は、佐川さんのネットワークにわれわれが相乗りをするケースです。逆に、下の例は、われわれのネットワークに佐川さんに乗っていただくケースです。フェリーなどを共同で利用することで、まさに一本に仕立て、効率的な輸送にしていこう、トラックの便数などを削減していこう、という取り組みを進めています。

 下の例は、トラックの空きスペースなどを分析し、浜松東京便でJPと佐川さんの荷物を混載し、それぞれの拠点に下ろしていくというものです。そのようなことによって、運送の効率を高めていくことにもチャレンジしています。

 少し雑ぱくなお話になりましたが、郵便・物流それぞれの分野で、われわれが取り組んでいる課題についてご紹介しました。これから時代が進むとともに、われわれは事業の変革をまだまだ加速させていかなければいけません。社内の力やデジタルの力を使いながら中のオペレーション形態を変えていくものと併せ、社外のステークホルダーの皆さん、競合の皆さんや隣接分野の皆さんとも連携を重ねていくことで、変革の取り組みをさらに加速していこうという動きについて、ご紹介しました。

 日本郵便は、これまで、郵便ネットワークで日本全国の皆さまにサービスをお届けしてきました。これからも、時代の変化に応じてわれわれ自身も生まれ変わりながら、物流事業者としてしっかり競争力を確保できるようにチャレンジを続けていきたいと思います。これからの日本郵便の取り組み、また、JP楽天ロジスティクスも含めたグループ各社の取り組みについて、ご期待いただければと思います。

 私からの説明は以上です。ありがとうございました。