ビジョンを共有できる異能の仲間を集めよ
――ご著書では、チームビルディングについても言及されています。チーム構成やメンバーの決め方について教えてください。
井上 まず、「自分がB・T・Cのどれに該当するのか」を知ることが必要です。自分がBiz人材だとわかったら、あとはTech人材とCreative人材を集めます。そして大事なのは、これからやろうとしている事業に対して「ビジョンや意思を統一させる」ということです。新規事業は不確実性が高いからこそ、「新規事業をやりたくて、しかたがない」という人だけを仲間にすべきだと思います。
新規事業における最小価値、すなわち0→1を創るまでは5人以下のチームが良い、と我々の研究結果から導いています。5人でスピーディーに最小価値をつくってしまうのです。このとき、一人でもやらない理由を探すメンバーが出てきたら、投入できる力が激減します。それでは絶対にうまくいかないので、能力は違っていてもビジョンが一致している人を仲間に入れることが重要です。
もし自社だけで最適な人間が見つからないのであれば、業務委託やフリーランスなど、できる限り広い範囲で「異能」と「ビジョン」が一致する人を見つけます。人材を探す際には、必ずしも社内にこだわる必要はないでしょう。
――5人以上のチームでは、なかなか最小価値をつくるのが難しいものでしょうか。
井上 0→1に取り組む際には日々コンセプトが変わるので、常にピボット(方向転換)を繰り返さなければなければなりません。そのときに注意すべき点は、「ピボットした」とメンバーに伝えるだけでは、チームとして成立しないという点。全員がピボットの理由を理解していないと、力を発揮することができないのです。この情報共有を迅速にできる人数の限界が5人だと考えています。