オンラインとリアル、それぞれの価値
研修やワークショップのオンラインならではの価値ってありますか?
オンラインの良いところは、自分のペースでやれるところですね。昼休みと個人作業を兼ねて時間を長めにとり、アウトプットを持ち寄ってその後のワークを行う、といったやり方も効果的です。
冒頭で、オンラインは場所を気にせずつながれるというお話もありましたが、そのあたりを価値として生かせることもあるのでしょうか?
リアルだと会場を予約したり、移動時間を含めてスケジュールを調整しなくてはいけないので、1回にいろいろと詰め込もうとしてしまい、それが制約になっていたと思います。
確かに、場所の制約がなくなると参加者を増やすこともできますね。
そうなんです。また、オンラインだと時間だけ押さえれば良いので、短めのワークショップを連続開催していくスタイルも可能です。複数回にすることで合間の時間を活用できるので、アウトプットの質も上げることができます。
複数回に分けることで議論やアウトプットの質を高めることができるということですね。
そして、オンラインであればグラフィックレコーダーや専門家、外国人などもハードル低く参加してもらえる。場所の制約がなくなったことで、参加者が多様になったのはオンラインならではの可能性ですね。また、あえて制約を利用して、カメラオフで名前を匿名にした「覆面座談会」なんていうのも面白いですね。
オンラインに切り替わった当初は、リアルをオンラインに置き換えるという感覚だったのが、今はそれぞれの良さを発揮して、場に適したツールを選択することができるようになったんですね。そうなると、リアルならではの価値は今後、どんなことになっていくとお考えですか?
プロトタイピングの検証などモノを使ったものは、やはりリアルでないと難しいです。ユーザーインタビューなどでは、リアルとオンラインの違いについて、実践しながらうまく使い分けていきたいですね。
われわれも、職場風土改善といったテーマだとオンラインインタビューだけではなかなか職場の雰囲気がつかみづらい、といった経験がありますが、何がリアルと違うのかということは十分分析できていないですね。
オンラインだと無駄がなくなりますよね。リアルだと無駄なことが多い。会議室にいって、名刺交換してとか・・・ でも、そういった無駄な時間や体験が大切だったのかもしれないですね。
オンライン営業とかでも、はっきりとした用件がないと、アポがとれないというのが悩ましいと聞きました。
オンラインでは効率的になりますが、あえて無駄なことや遊びの要素を入れていけると良いですね。アイデア発想でも、そういう遊びの部分がないと、いいアイデアは出てこない。積極的に無駄を楽しんでいきたいですね。
いろいろなお話をいただき、ありがとうございました。オンラインディスカッションはまだまだ黎明期ですが、ツールもリテラシーも今後、急速に発展すると思います。リアルとオンライン、それぞれの価値をうまく発揮してコミュニケーションをとれる企業が、より成長するといえそうです。