サービスの在り方や製品の開発に際して「顧客の声に耳を傾ける」ということが重要だといわれる。しかし実際は、顧客にとって未知のことや体験したことがないものについて問い掛けても「当たらない」ことがほとんどである。体験したことや利用したものについての不満や改良要望は顧客に聞く意味があるが、「知りもしないこと」については顧客の声は役に立たないのである。
コロナ禍についても同様で「どうすれば安心か」「どうすれば役に立つのか」ということを顧客に聞いたところで、思い付き、かつ役に立たない意見が多く、「これが顧客の声だ」と真に受けて失敗したケースも多いことだろう。
そうしたときにやはり立ち返るべきなのは「顧客の抱える問題」である。顧客の「声」や「要望」ではなく「何を解決すればよいのか」に焦点を当て、解決策は自社が考える。「なんだそんなことか、顧客の問題解決はマーケティングのイロハのイじゃないか」と思われるだろうか。しかし、この当たり前の「イ」ができるかどうか、そして顧客に受け入れられる具体的な解決策として打ち出せるか。そこに真のマーケティング力が問われるのである。
今回は、いわれてみれば「なーんだ、そんなことか」だが、実はマーケティングの核心を突いた事例を紹介しよう。