〔JMAC解説〕講演から学ぶEXアプローチのポイントはこれだ!

 以上、前編・後編にわたって、企業の実務・学術の立場からEX(Employee Experience)について考えてきた。

 コロナ禍も踏まえた、昨今の不確実・複雑な環境下では特に、経営のありたい姿や会社の存在意義・パーパスを実現するために、従業員一人一人が役割を踏まえて、より良いEXを創造し、価値を高めていける社員・組織づくりが必要である。

 EX向上は「働きがい向上」だけではなく、人財強化やより良い企業文化醸成といった、数字では見えにくい企業の競争力の源泉であると考えている。「社員の意識に関わる問題なので人事部の所管だ」と矮小化せず、経営上の重要課題として企業トップが関わり、取り組むべき問題なのである。

 人事部が考えた「働きがい向上施策」に対し、「やらされている」という意識で「やったふり」をするだけの悪循環を繰り返すだけでは、そこに企業の成長はない。

 社員一人一人が自分たちにとって重要な体験を発見したり、自ら「クラフティング」していくという方向に発想を転換することがEXアプローチのポイントなのである。