これまでグローバルに拠点を展開しサプライチェーンを拡大してきた企業では、コロナ禍によるサプライチェーンの寸断を受けて、サプライチェーンを維持するための国内回帰、利益創出のための地産地消を進める動きが出てきている。
一方、働く環境に目を向けると、密を避ける、リモートワークを導入するなど、これまでの働き方を変える必要性が生じている。つくる「もの」の種類や量の増減に応じて、つくり方や管理方法を変えなければならない環境の中で、コロナ禍においても高い生産性をより早く実現し、利益を生み出すための現場改善を進める必要があるわけだ。
投資環境が厳しいことは予想されるが、経営トップを含めた全従業員の創造力・知恵・工夫に投資はいらない。今こそ、人の資源を最大限活用して生産性向上を実現すべきである。
段違いな現場改善を実現させる
現場改善の目的は、製造現場を取り巻く環境の変化、すなわち顧客の要望の変化(生産量、品種、品質レベル、納期レベル、価格レベル)や自社の環境変化(設備構成、人員構成)に適応しながら生産性向上を実現することである。
このときに、実施すべきことは、より早く実現する「段違いな現場改善」である。これは従来の現場改善から一段目線を上げて改善を進めること、つまり先述した改善の目的を達するために、より有効な改善を早く実行することである。
段違いとはいっても、競合他社と比べて高いレベルを目指すのではなく、まずは自社のレベルを早く高めることが優先である。これを継続することで段違いな改善が実現し、結果として競争力が高まり、顧客から選ばれ続ける現場づくりにつながる。
では、段違いな現場改善の実現には具体的に何が必要なのだろうか。品質や生産性の観点から段違いを実現するための着想を考えてみよう。