近年、業務改革推進部門を設置する企業が増えてきている。それに伴って、日本能率協会コンサルティング(JMAC)も業務改革担当者の育成も兼ねながら、業務改革推進部門の活動を実践支援することが増えてきた。

 今回は、コンサルティングの経験や企業の実態を踏まえながら、業務改革推進部門の果たすべき2つの役割について示したい。

〔役割その1〕全社課題を解決するプロジェクトを推進

 業務改革推進部門の果たすべき役割の1つ目は、全社課題を解決する部門として全社プロジェクトを推進することである。

 これは、
・企業戦略を実現するための課題
・全社共通テーマとなる課題(働き方改革、テレワーク、ペーパーレスなど)
・営業、生産、開発などの複数機能をまたいだ課題
 を解決するための業務改革プロジェクトの推進である。

 どれも各部門からプロジェクトメンバーを選出してプロジェクトを発足させ、推進することも多いが、どうしても部門・機能間で意見の対立が起きやすく、個別最適の視点にも陥りやすい。また、日常業務が繁忙で、プロジェクト期間も予定通りに進まないことが多い。

 従って、全社最適の視点でスピーディーに業務設計、移行を推進できる専門組織が必要であり、それこそが業務改革推進部門の果たすべき役割である。

〔役割その2〕ボトムアップによる改善活動を推進、定着化

 業務改革推進部門の果たすべき役割の2つ目は、ボトムアップによる改善活動を推進し、それを定着化させることである。

 そのためには、(1)「正しい改善活動の考え方・進め方の共通認識」、(2)「改善活動を実践する場づくり」、(3)「改善活動のモニタリング」が必要である。