グレート・リセット時代の経営戦略
2020年6月、世界経済フォーラムは次回の年次総会(ダボス会議)のテーマを、新型コロナウイルスの流行を受け、社会構造や経済活動を刷新するための「グレート・リセット」にすると発表。
この中で、「われわれは協力を通じて公正で持続可能かつレジリエンス(適応、回復する力)のある未来のために、経済・社会システムの基盤を緊急に構築すべき」とのメッセージを発している。
この内容に象徴されるように、われわれは新型コロナウイルスの流行を契機に、環境・社会の変化が経済活動の在り方を根本から変える影響力を持つことを改めて認識することになった。
既に、新型コロナウイルスに起因する新しい生活様式へのシフトは、企業活動を大きく変えつつある。多くの企業で経営方針の見直しが図られているが、手探りでAfterコロナ時代に向けた経営戦略を構築しようとしているというところが多いのではないだろうか。
このような転換期の経営戦略において重要度が増している考え方が「サステナビリティ」である。
企業が追求するサステナビリティには、守りと攻めの2側面がある。
守りのサステナビリティとは、事業に影響を与える環境・社会変化のリスクを認知し、それを自社のリスクマネジメントの中に組み込み、影響を緩和するための方策を経営戦略に織り込むことである。新型コロナウイルスに象徴されるパンデミックに限らず、豪雨や地震などの自然災害、その他にも資源の枯渇、人口増加に伴うさまざまな問題に起因する事業活動に与える影響への備えが挙げられる。
一方、攻めのサステナビリティとは、これら環境・社会の課題を新たなビジネスチャンスと見なす考え方である。社会に普遍的に存在する課題の解決に貢献することが事業成果にもつながり、環境・社会のサステナビリティにも貢献するという善循環の考え方である。
この攻めのサステナビリティが会社の新たな競争力を構築する突破口となる。