本コラムでは日本能率協会コンサルティング(JMAC)のサステナビリティ研究会のメンバーがリレー方式で、SDGsに関連した企業経営に役立つ情報をお伝えする。
企業は今、変革できるか問われている
今まさにコロナ禍において仕事の仕方、社会の仕組み、消費者心理、市場構造が変化し、社会・経済に重大な影響を与えている。今後もこうしたパンデミックや気候変動がもたらす洪水・熱波などによる健康被害の増大、高齢化・労働人口の減少など、物理的または社会的制約やニーズの変化が企業経営にさらに大きな影響を及ぼすと考えられている。
そうした大きな変化に対して、企業は自らを素早く変革・トランスフォームできるかが今、問われている。
その変化の方向は、これまでの「経済的価値の創造」から、環境と社会も考慮した「経済的価値と社会的価値の同時創造」である。この2つの価値を同時に創造できない企業はこの先、生き残れない。まさにサステナブル、持続可能な経営への変革が求められている。
目指すサステナビリティとは、「現役世代の誰もが環境・社会・経済的な繁栄と幸せを享受でき、それが将来世代にも確実に引き継がれる世の中をつくること」だ。
サステナビリティ経営とは、「その考え方をベースに社会的価値と経済的価値を同時に創造する組織の変革を促進し、ステークホルダーから常に支持され、応援される企業に変革すること」である。
昨今、このサステナビリティの分野ではSDGsの動きが活発化している。SDGsはご存じの通り、国連が定めた「持続可能な開発目標」のことで、2030年までに解決すべき世界の課題を17の目標に整理している。
それらはサステナビリティでいう環境・社会・経済というトリプルボトムラインを具体的に表現したものとみることができる。従って、われわれはSDGsを追求することが、サステナビリティ経営を具現化する活動であると位置付けている。