SDGsの活用で3つの変革を実現させる

 SDGsは環境・社会・経済価値を同時実現するサステナビリティ経営を行うためのツール、すなわち組織を変革するためのツールであるといえる。つまり、SDGsをツールとして活用することで、以下の3つの変革が考えられる。

1.自社の考え方を変革する

 1つ目が、自社の考え方を変革すること。つまり、環境、社会、自社の成長についての在りたい姿を統合したビジョン・戦略をつくり出す変革である。

 社会の問題を認識して自社のミッションに立ち返り、将来の在りたい姿を描く。その上で環境・社会・経済の重要課題、つまりマテリアリティを特定し、将来の不確実性の中からもバックキャストした取り組み事項を中長期マスタープランに落し込む。

2.バリューチェーンを変革する

 2つ目が、バリューチェーンの変革。つまり、開発、調達、製造、販売、また人事総務などの各機能の価値・競争力を高める変革である。

 ここでは、自社の利益や顧客への提供価値だけではなく、バリューチェーンに対して何ができるかを考える。そのときにOutside-In(アウトサイド・イン)という、現在の企業の位置から考えるのでなく、冒頭に述べたように大きく変わりゆく社会・環境の影響やニーズからの思考で考える。

3.自社の仕組みを変革する

 3つ目の変革が、自社の仕組みの変革である。

 事業活動の評価時には、これまでの経済的価値での評価だけではなく、社会的価値も合わせた評価が必要となる。さらに管理指標として、サステナビリティ情報をもとにしたSDGs管理指標を設定する。

 また、自社内での継続的な活動に向けては、確かな新技術やイノベーションの創出と、確実に成果を出すためのPDCAサイクルによる仕組み化も重要である。