基本的には、NISAの年間非課税枠120万円をできるだけ効率的に使いたいです。その観点からすれば、もしNISA口座の資金が120万円を超えていたとしても、そのままロールオーバーするのは再考したいところ。新規資金を追加することができないからです。

 たとえば、2019年の1年間で値上がり益がより期待できる投資対象や銘柄を見つけたとしても、非課税枠120万円を使い切っていればNISA口座で投資することができません。収益拡大の機会損失を避けるためにも、非課税枠をどのくらい残すのかがロールオーバーするかしないかの判断ポイントのひとつになります。

資金計画とライフプランもあわせてチェック

 以前の記事「資産運用のリスクとその対処法を把握しよう」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53233)で、1年に一度くらいのペースで資産バランスのチェックを、と紹介しました。そこではチェックの時期については触れませんでしたが、NISAのロールオーバーのタイミングは適していると思います。

 NISAを継続して活用している方には、ロールオーバーがこれから毎年訪れます。基本的に10月ごろになるとNISA口座をもつ金融機関から連絡がくるはずです。この時期に資産バランスのチェックを行うことを毎年の決めごとにしてはいかがでしょうか。忘れることがないですし、そのための準備(情報収集など)もやりやすくなります。

 資産バランスのチェックに際して覚えておきたいポイントは、大きく2つあります。1つめは、NISA口座以外の投資資産も合わせてチェックすること。NISAだけで投資している方は問題ありませんが、一般口座の資産や不動産などを持っている方は、それらのリスクや投資成果なども合わせて考えましょう。生命保険の見直しもできると効率的です。

 2つめは、投資資産だけでなく老後生活の資金計画を含めたライフプラン全体を確認することです。いつまでに何をしたい、そのためにいくら必要か――。資産運用の前提となるライフプランに変更はないでしょうか。自分や家族の気持ちや考え方に変化はありませんか。家庭・親族の事情や健康状態はいかがでしょうか。もし投資を始めた当初と違いが出てきたようなら、その変化に合わせた投資戦略を考える必要があるでしょう。

 株価も資産運用も、もちろん人生も、予想通りに進むことはほとんどありません。「はずれても大怪我せずに、当たったらラッキー」ぐらいの気持ちで、見当をつけるのがちょうどよいでしょう。予想の当たりはずれよりも、毎年同じ時期に資産を確認し続けることが大事です。それを繰り返していくなかで、自分が納得できる「お金観」を見つけることができれば、資産運用は大成功といえるのではないでしょうか。