東京センチュリー代表取締役社長の馬場高一氏(撮影:今祥雄)

 リースを祖業とし、さまざまな金融・サービスを提供する東京センチュリーが業績を堅調に伸ばしている。コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻により業績は大きく低迷したが、V字回復が見えてきた。2023年5月に発表した中期経営計画に基づき、さらなる成長を目指す。そのカギになるのが4つのトランスフォーメーションからなる「TCX(TC Transformation)」だ。馬場高一社長にその狙いを聞いた。

本稿は「Japan Innovation Review」が過去に掲載した人気記事の再配信です。(初出:2024年5月22日)※内容は掲載当時のもの

2027年度までの中期経営計画が始動、「TCX」を基本方針に

――2023年5月に5カ年の中期経営計画を発表しました。計画の策定意図はどこにありますか。

馬場 高一/東京センチュリー代表取締役社長

1961年生まれ。東京大学法学部および米ペンシルベニア大学ロースクール卒業。国内金融機関を経て、2014年入社。経営企画部門長やシステム部門長などを歴任し、2022年4月から現職。

馬場高一氏(以下敬称略) 当社は2009年4月、東京リースと、センチュリー・リーシング・システムが合併し誕生しました。2024年4月にちょうど15年の節目を迎えました。

 合併当時のセグメント資産残高は約2兆円、当期純利益は約100億円でしたが、2023年度末のセグメント資産残高は約5.7兆円、当期純利益は721億円と過去最高益を更新しました。また、当期純利益は年率で約14%の成長を遂げてきました。

 前中期経営計画(前中計)は2022年度を最終年度とし、経常利益1,300億円、当期純利益800億円を目指していました。しかし、コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻などの影響を受け、前中計は未達となりました。

 2023年度からスタートした「中期経営計画2027」(本中計)は、2027年度までの5カ年計画です。コロナ禍などの外部要因を跳ね返していくような、盤石な事業ポートフォリオを再構築していく必要があると考えました。これまでの10年間も、かなりダイナミックに事業ポートフォリオの変革に取り組んできましたが、本中計ではさらに、東京センチュリーグループとしてどう取り組んでいくべきかを、もう一度ゼロベースで考え直しました。10年後も、さらなる企業価値の向上と持続的な成長を遂げていく企業グループとして、変革を推進する必要性を痛感したことが本中計のバックボーンになっています。