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SBIグループの中の保険事業を統括しているSBIインシュアランスグループは、傘下に損保、生保、少額短期保険(少短保険)を手掛ける複数の事業会社を持つ。2028年3月期を最終年度に置いた現中期経営計画では、収益、利益とも強気の目標を掲げ、その実現のための戦略として、グループのシナジー、テクノロジーの積極活用、そして独自の分野を攻めるニッチ路線の3点を据える。その真意を、乙部辰良会長兼社長に聞いた。
シリーズ「我が社の戦略」
■「ニッチ市場戦略をブレずに貫く」SBIインシュアランスグループ業績好調の理由※本稿
■ハイデイ日高・青野社長に聞く、「熱烈中華食堂日高屋」はなぜ今、ロードサイド店の強化に乗り出したのか?
■コロナ禍からV字回復へ 東京センチュリー馬場社長が語る、再び成長軌道に乗るための「4つの変革」
■「歴史をアップデートする」NOK社長・鶴正雄氏が語る“売上高1兆円”達成への挑戦
■初の5年中計となったしずおかFG 柴田久社長が語る、地域の将来を左右する「地域共創戦略」の重み
■6000億円を投じて米保険会社株20%を取得、人口減少時代に日本生命が切り開く活路
■新ビジネスの反響は「想定以上」、しずおかFG・柴田久社長に聞く非金融領域の勝算
■売上1兆円に向け成果を出す5年へ、横河電機・奈良寿社長が描く「基本戦略」
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SBIグループの顧客に保険サービスを紹介する
――中期経営計画の初年度が終わりました。1年目の結果は当初予想を上回る着地になりそうですが、これをどう評価していますか。
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1981年大蔵省(現・財務省)入省。金融企画局、主税局などを経て、2002年金融庁入庁。総務企画局審議官などを歴任し、2012年財務省東海財務局長、2015年関東財務局長に就任。2016年同省を退官し、SBIファイナンシャルサービシーズに顧問として入社。2017年SBIインシュアランスグループ取締役会長、2018年より現職。
乙部辰良氏(以下・敬称略) 2028年3月を最終年度にした現中計の5年間で、金融機関のトップラインに当たる経常収益を2023年3月期の1.6倍、ボトムラインの純利益を3.2倍という高い目標を掲げています。その初年度の2024年3月期は、おおむね当初の予想通りの着地を見込んでおり、滑り出しとしては順調だと認識しています。
当社グループはいわゆるダイレクト保険の会社などが集まっているグル-プですが、大手の保険会社と比べて規模が非常に小さいため、常に高い目標を掲げ、攻めていかなければいけません。
ダイレクト保険の会社で上場しているのは、当社の他にライフネット生命さんがありますが、同社は生命保険だけの業態です。一方当社は損保、生保、それにミニ保険とも呼ばれる少短保険の3分野を有しており、事業形態は異なっています。成長のためには、全方位でアグレッシブな取り組みをしなければいけないと考えています。
――保険会社としての強みはどこにありますか。
乙部 当社グループの特徴の1つは、SBIという金融グループの中の保険グループであることです。SBIグループは証券、銀行、資産運用、暗号資産などと事業分野を拡大しており、保険事業も、そのグループ内でシナジーを発揮すべく、お客さまにサービスを提供しています。
SBIグループ全体で、重複を加味せず単純に足し上げれば4000万~5000万人のお客さまがいらっしゃいます。その方々に、保険のご提案ができる優位性をフルに生かすことで、今後も成長できると考えています。
SBIグループ内の送客による最も大きなメリットは、広告宣伝費の節約ができることです。多くのダイレクト系保険会社は、TVなどマスメディアの宣伝に多額の費用を投下しています。当社グループでもTVCMを実施していますが、その出稿量は他社と比べてわずかです。大量のCMを打たなくても、SBIグループや当社グループ間での送客によってまとまった顧客層にアプローチができるため、結果として事業費を抑え、保険料を安くすることができます。