(3)攻撃部隊、兵装および攻撃ルート

 イスラエルはF-35A 2個飛行隊約50機を運用している。

 F-35Aの高ステルス性能を維持するためには、ミサイルや爆弾を機外搭載でなく胴体内兵器倉(ウエポンベイ)の中に搭載する必要がある。

 F-35 Aのウエポンベイは内部天井と内側扉裏側に1か所ずつ、左右合わせて4か所のハードポイントを備えており、空対地ミッションでは2000ポンド JDAM(注2)2発と中距離空対空ミサイル(AIM-120)2発を搭載可能である。

 さて、話は変わるが、イスラエルのF-35Aは、すでにイランの核関連施設を偵察しているという報道がある。

 米外交専門誌ナショナル・インタレストなどによると、イスラエル空軍の2機のF-35は2018年2月、イランの首都テヘランをはじめホルムズ海峡の要衝バンダレ・アバス港やカラジラーク、イスファハンといった主要都市の上空を偵察したとされる。

 この飛行直後に日刊紙アル・ジャリーダは、「イラン空軍はこの侵入を全く探知できず、領空に入られたことさえ気づかなかった」と報じた。

 ナショナル・インタレストなどは次のように報じている。

「アル・ジャリーダの報道の直後にイラン最高指導者のハメネイ師が革命防衛隊などに調査を指示した」

「その調査によれば、イランの上空を守るはずの防空システム、中でも最新鋭とされるロシア製地対空ミサイル『S300』 のレーダーは、ステルス機を全く探知できていなかった」

「またイラン空軍司令官のファザド・イスマイリ准将は、この失態をハメネイ師ら上層部に隠していたことも明らかになった。結果、准将は罷免された」(出典:sankei.com 2019.8.6)

 ところで、攻撃部隊の飛行経路は、ヨルダンからイラク北部を通過し、イラン領空に侵入するルートが想定される。

 飛行距離は最短で片道約1600キロ。F-35Aの機内燃料のみの戦闘行動半径は1093キロである。飛行距離は長いが、イスラエルは空中給油機を保有しているため飛行距離は制約とならない。

(注2)JDAM(Joint-Direct-Attack-Munition)は通常爆弾にキットを装着することで精密誘導爆弾に変えたものであり、誘導方式にはINSとGPSを併用している。また、現在ではさらにレーザー誘導を併用できるLJDAMも登場している。