生まれて初めて生理用品を手にしたという男子生徒も少なくない(写真:おおたとしまさ)

教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏が、男子校で広がり始めた性教育とジェンダー教育の現場に迫る連載「ルポ・男子校の性教育」。今回は獨協中学校・高等学校(以下、獨協)を訪ねた。品川女子学院中等部・高等部の生徒が生理について講義をする。男子生徒がロールプレイを通じて初めて知った、微妙な女性心理とは。(JBpress)

おおたとしまさ:教育ジャーナリスト)

「グループワークとかするらしいよ」

「話聞いてるだけだと思った」

「俺、もう帰りたい……」
 
 図書室入口付近にある特別教室で、学ラン姿の中高生たちがざわついている。

 この日、男子校である獨協中学校・高等学校(以下、獨協)に、女子校である品川女子学院中等部・高等部(以下、品女)の生徒たちが訪れて、女性の生理(月経)についての講義をしてくれることになっていた。

 獨協からは、生徒会および保健委員会のメンバーを中心に中2から高2までの16人希望者が集まった。品女からは学校公認の有志団体「CLAIR.(クレア)」のメンバーのうち中1から高2までの16人がやってきた。

 6人がけの島を4つつくり、それぞれにナビゲーター役の女子が2人、男子が4人座る。机の上には5種類の生理用品が置かれている。

 冒頭、CLAIR.の代表からの挨拶。

「私たちは生理のタブー視をなくすことで、最終的には性別を超えてお互いが尊重・理解できる社会を目指して活動している学生団体です」

 CLAIR.は、女性の生理期間を生きやすくし、男女の知識差をなくし、いろいろなひとに生理について知ってもらうことを目的に結成された有志団体だ。これまでに、開成、芝、本郷、攻玉社の4つの男子校をはじめとするさまざまな学校で出張授業を行った実績がある。

「楽しい講演会にするためにお伝えしたいことがあります。前提として、男性と女性でそれぞれ大変なことはあるけれど、どっちのほうが大変とか対立するのではなくて、完全に理解できないながらも、お互いに理解する努力が必要だと考えています。お互い、年も近いので、どんどん発言して、交流を深めていければなと思います。敬語でもタメ語でもどちらでも大丈夫です」

 この前提はぜひ、この記事を読むひとたちにも理解してほしい。