草むらで警戒するウクライナ軍兵士。ウクライナ軍は50~80万人の兵士を動員するが、兵士不足に陥りつつあるという(写真:ウクライナ国防省Xより)

戦場の景色は第一次大戦の「塹壕戦」とほとんど変わらない

 2022年2月24日、ロシアのプーチン大統領が侵略戦争を「特別軍事作戦」だと強弁し、20万人の兵力でウクライナ本土に攻め入ってから丸2年が経過、いよいよ3年目に突入した。

 進軍目標は、①北ルート/同盟国ベラルーシからウクライナの首都キーウを占領、②西ルート/ウクライナ第2の都市ハルキウとドンバス地域の完全占領、③南ルート/2014年に占領のクリミア半島からウクライナ南部沿岸地域と商港オデーサを攻略──の主に3つ。プーチン氏は「キーウは数日で陥落だ」と短期決戦に自信を見せたが、“夢想”は思い切り外れ、長期・消耗戦に突入した。

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 当初ロシア軍の奇襲は成功し、数週間のうちに、北はベラルーシから、南はウクライナ南西部、さらに黒海を臨むヘルソンまで全長約1800kmにわたって、ウクライナ国境とアゾフ海、黒海沿いに幅100~150kmの占領地を確保する。

 だが、ウクライナ側の頑強な抵抗と稚拙な作戦計画で、間もなくキーウ占領を諦め、2022年3月には早くもウクライナ北部からの撤収も決意し、兵力を東部ドンバス地域や南部のヘルソン方面の作戦に集中させた。

 南ルートでは黒海沿いに西進、ロシア本土から最も遠いドニプロ川対岸(西岸)のヘルソンに達していたが、補給路が延び切り戦線の維持が難しくなったためか、同年11月にヘルソンを捨てドニプロ川東岸に後退した。

 2023年以降はウクライナ東部で激戦が繰り広げられ、要衝バフムトや、2024年2月に交通の拠点アウジーイウカが、それぞれ損害度外視で攻撃を繰り返すロシア側の手に落ちた以外に大きな変化はなく、戦線は膠着状態となる。

ロシア軍の砲撃ロシア軍の砲撃(写真:Russian Defense Ministry Press Service/AP/アフロ)

 戦場の景色は、100年前に欧州で繰り広げられた、第一次大戦の塹壕戦とほとんど変わらず、両軍とも戦線に沿って塹壕やバリケード、有刺鉄線を張り巡らせ、大砲やミサイル、ドローンによる攻撃を続ける。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は状況打開のため、ロシア軍が支配する南部の中心都市メリトポリを奪還しようと反攻作戦に出るが、結局失敗して今日に至っている。

ウクライナ軍は爆弾を積んだドローンを多用し多数のロシア軍戦車を撃破しているウクライナ軍は爆弾を積んだドローンを多用し多数のロシア軍戦車を撃破している(写真:ウクライナ国防省Xより)