原油価格は下降トレンドに入ったか(写真:Perekotypole/Shutterstock.com
  • 10月4日、米WTI原油先物価格が急落。前日比5.01ドル減の1バレル=84.22ドルとなった。
  • 下落率は昨年9月23日以来の大きさで、「100ドル超えは時間の問題」といった市場の観測が揺らいでいる。
  • 原油価格は需給両面からみて、下降トレンドに入った可能性が高い。

(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)

 米WTI原油先物価格は10月4日、前日比5.01ドル減の1バレル=84.22ドルに急落し、8月31日以来の安値となった。下落率は昨年9月23日以来の大きさだ。

 米国のガソリン在庫の積み上がりが市場予想を大きく上回ったのが主な要因だ(前週比648万バレル増)。「原油価格の上昇が石油製品の需要を減少させた」と市場が判断したとされている。

 供給不足が材料視されて、原油価格は今年第3四半期に約30%上昇した。9月28日に1バレル=95ドル台まで上昇し、「100ドル超えは時間の問題だ」との観測も出ていた。だがここに来て、上昇の勢いは衰えている。

 筆者は「需給両面からみて、原油価格は下落トレンドに入った可能性が高い」と考えている。その根拠を示すためにまず最初に供給サイドの動きから見てみたい。

 OPEC(石油輸出国機構)とロシアなどの大産油国で構成されるOPECプラスの合同閣僚監視委員会は10月4日、「現行の政策を維持する」と表明した。OPECプラスは昨年11月から世界の原油供給量の2%に当たる日量200万バレルの減産を実施している。

 OPECプラスの取り組みに加え、自主減産を実施しているサウジアラビアとロシアは「既存路線を継承する」ことを明らかにしている。サウジは7月から実施している原油の自主減産(日量100万バレル)を今年12月まで続け、ロシアも年末まで原油の輸出量を日量30万バレル減少させる方針を確認した。

 だが、市場の予想どおりであり、これまでのように「買い」材料とならなかった。