2022年7月8日、奈良県奈良市の大和西大寺駅北口付近で安倍元首相が銃撃された(写真:共同通信社)

 2022年7月8日、奈良県奈良市の大和西大寺駅北口付近で、安倍晋三元首相が銃撃され、その日の夕方に息を引き取った。現行犯逮捕された山上徹也容疑者は、事件の前日、ルポライターの米本和広氏へ宛てた手紙に「苦々しくは思っていましたが、安倍は本来の敵ではないのです」「あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎません」と書いていた。

 山上徹也とはどんな人間で、何を考えていたのか。『「山上徹也」とは何者だったのか』(講談社+α新書)を上梓し、事件前に山上からSNSでメッセージを受け取っていたジャーナリストの鈴木エイト氏に聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト)

──安倍晋三元首相を銃撃して逮捕されるまで、山上徹也がどんな人生を歩んできたのか、教えてください。

鈴木エイト氏(以下、エイト):彼は大阪府東大阪市で生まれました。4歳の時に父親が自殺し、奈良市内の母親の実家に引っ越します。小学生の時に母親が統一教会に入信、巨額の献金をするようになります。

 高校は、奈良県立郡山高校という県内では学力の高い学校へ通いました。そこでは、応援団などにも入っていました。当時の彼は大学進学を目指していましたが、母親の統一教会への高額な献金で経済的に難しい状況になり、大学進学をあきらめた。この辺から、彼の人生が暗転していったという印象を受けます。

 その後、消防士の試験を受け、試験には合格したのですが、視力が低いという理由から採用は叶いませんでした。それ以降は、いろんな資格を取りながら様々な仕事を転々としていたようです。

 祖父が亡くなり、父親が自殺し、母親が統一教会に入って献金を重ねるなど、彼は家族関係に困難を抱えていました。

 母親は山上の父親の死亡保険金を統一教会への献金に充て、統一教会への多額の献金の影響で祖父から継いだ会社も畳むことになり、自宅も売り払ってしまいました。生活が成り立たなくなり、母親ときょうだい3人の生活は転落していきました。

──母親は合計で1億円以上を献金していますよね?

エイト:そう報道されています。父親の死亡保険金、会社、土地、家屋などを売ったカネ、総額およそ1億円を超える額を献金したと言われています。

 献金が過度であるとして、統一教会側は当初5000万円を返金する意向を表明しています(このうち2000万円はすでに返金済みで、残りの3000万円については親族が返金の旨を確認している)。

──事件を起こす前、山上がエイトさんの記事を読んだり、エイトさんにメッセージを送ったりしていたことについて書かれています。