維新は第2自民党として二大政党制の核となれるか。写真は馬場代表(写真:共同通信社)

 内閣改造によって発足した第2次岸田再改造内閣。林芳正前外相の交代や過去最多タイの女性閣僚などサプライズもあったが、幹事長や政調会長、官房長官など政権の骨格となるメンバーが変わらなかったこともあってか、政権の支持率浮揚にはつながっていない。

 今秋の早期解散説もくすぶる中、今回の内閣改造と今後の展開について、国内政治と選挙動向に精通した社会学者の西田亮介氏と、情報法制研究所の上級研究員を務める山本一郎氏が語り合う対談の第3回。

◎1回目「11月26日投開票日の可能性?河野太郎氏留任に透けて見える岸田政権の解散戦略
◎2回目「結果だけ見ると岸田政権は「国民の敵」、なぜ物価高対策をアピールしない?

「穏やかな維新」か「現実的な立憲」か

山本一郎氏(以下、山本氏):目下取り沙汰されているのは、今国会で補正予算を成立させた後の10月31日に岸田さんが解散を打ち、11月14日公示、11月26日投開票のプランです。今回、解散見込みもあって「国会審議がスカスカだぞ」という批判もあるようですが、ここから選挙やるタイミングの国会で重要法案とか審議できますか。

 ただ、なんやかんやあって大型経済対策の着地がずれ込むと、11月上旬はドバイでのCOP28(第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議)の日程があるため11月10日か13日に解散、投開票は12月10日になるのではという説もあります。

 その前に、内閣改造や旧統一教会(現・家庭連合)の解散命令請求を詰め込んで支持率浮揚を狙っていたのだろうとは思いますね。

山本一郎氏。慶應義塾大学法学部政治学科卒。東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員を経て、情報法制研究所・事務局次長、上席研究員として、社会調査や統計分析にも従事。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる一方、高齢社会研究や時事問題の状況調査も

西田亮介氏(以下、西田氏):内閣改造が政権にとって不発に終わったとはいえ、野党の支持もぜんぜん伸びないですね。維新が伸ばすのかと思いきや、変なスキャンダルが相次いで出てきています。

山本氏:やっぱり、組織的にまだ未熟なところがあるんでしょう。

西田氏:立ち上げから10年あまりですね。政治の世界で10年は、長いようで短い。短いようで長い。

山本氏:地方議員のちゃんとした立候補者を見抜くっていうことに関して、まだあまりノウハウが溜まっていないのかなという感じが見受けられます。

西田氏:政治の世界に出てくる人って、与野党問わず、やっぱりみんなヤマ師みたいなものですからね。それか、2世、3世の家業政治家か。

西田亮介氏。東京工業大学准教授。博士(政策・メディア)。専門は社会学。慶應義塾大学総合政策学部卒業。同大学院政策・メディア研究科修士課程修了。同後期博士課程単位取得退学。著書に『メディアと自民党』『情報武装する政治』『コロナ危機の社会学』ほか多数

山本氏:ヤマ師しか来ない前提で、誰がよりマシなヤマ師なのかを選ぶみたいなところがありますが、維新の場合はその部分がまだできていない。

 橋下徹さん、松井一郎さん、馬場伸幸さん。重鎮とされるメンツを見ても、筋道よく政治の道を邁進してきた方々なのかと言われると、いろいろ微妙なところあるじゃないですか。

 ただ、やっぱり政治家は、本当に政治をやりたくて入ってきて、日本をよくするぞって思いだけでは成り立たないのも事実です。

 ある意味、海千山千。自分がよって立つところをしっかり盤石にして、議員バッジを付けて成り上がっていくぞみたいな心意気のある人もまたいてしかるべきだと思うんです。そこは買うんですが。

 いまの勢いだと、維新単体で衆院選の小選挙区で下手すると85~90ぐらい取る可能性もあるとみています。ただ、その後本当に一枚岩となって、政党としてやっていける舟になっているかと言われると、もうちょっと時間が必要かもしれないですね。

 政策通もいれば、選挙に強い人もいろいろ出てくる中で、党内でどういう序列にして、まとまりとしてうまくゆがみなく成長していこうとしているのか。おそらく、その青写真はまだ描けていないのかなって感じます。